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◇ 太陽熱を利用しない手はない

◆ 無限のエネルギー太陽光

▼ 自由に発想してみましょう

こんな発想-【その1】

太陽熱のことをイメージしてみてください。
真夏の太陽からの熱を身体が感ずる時の暖かさと言いますか、この場合は暑さですかね。と、真冬の太陽からの熱を身体が感ずる時の暖かさに差を感じますか?
何となく質の差を感じませんか?
これは同じ太陽からの熱でも、外気温の差によって人の感じ方に大きな違いがあるということですね。

冬から春にかけて、縁側に降り注ぐ太陽熱で日向ぼっこを経験した事がありますよね。
あの暖かさは低い外気温に降り注ぐ太陽熱との微妙にバランスのとれた、体感ハーモニーとも言えるもので「温かさ」と表現したほうがいいくらいに、とても居心地が良く快感なものです。

その居心地の良さを、家の中でいつでも味わうことができたら最高だとは思いませんか?

太陽熱は強烈だというイメージが強い訳ですが、実は地球の地表面で測定しますと、1m四方(1㎡)の1時間あたりのエネルギーは、わずか1kw程度だと言われています。
えっ!たったそれだけなの?と驚かれるでしょうが、そんなものなのですね。
この微弱な太陽熱を利用して、果たして家の中で日向ぼっこをしたり、ふんだんにお湯を使えるようなことが出来るのでしょうか。

こんな発想-【その2】

こんな発想をしてみましょう。可能かどうかは今は考えません。ただ発想してみましょう。

・ ・ ・ ↓ 例えば、

1.太陽の熱(空気)を何らかの方法(手段)でジャンジャン集める。
2.集めた熱(空気)をどこかに蓄積する。⇒ この熱を何かに利用する。
3.集めた空気を小屋裏や床下、窓ガラスや外壁や間仕切壁などに蓄積する。
等々 しかし、空気という特性や技術的な問題やコスト的な問題で、かなり高いハードルがあり、今の段階では実現不可能とまではいかなくても、かなり難しいという判断をしました。

で、下記のような、結果的には誰でもが考えつくような答えしか出せませんでした。
以下がその誰でもが考えつきそうな答えです。

(1) 太陽の熱を何らかの方法(手段)でジャンジャン集める。
(2) 集めた熱で水を温める。 ⇒ この温めた水を何かに利用する。
(3) (2)で温めた水をどこかに蓄積する。⇒ 蓄積したものを何かに利用する。

(3)で、何処に蓄積するかは、何に利用するかによって決まります。 およそ次のような利用方法が考えられます。

(1) 温まった水を台所やお風呂に利用する。
(2) 温まった水を暖房用に利用する。

・考えられる答え(1) ⇒ 台所やお風呂に利用するお湯はタンクに貯めておく。
・考えられる答え(2) ⇒ お湯で床を暖めて床暖房用に使う。

太陽熱を利用した家づくりですので、とりあえずソーラーハウスとでも呼びましょうか。さあ、じゃどうやってそのソーラーハウスを実現しましょうか? これからが問題です。
その前に、これが実現できたら、住まいの中でどのようなメリットがあり、どのようなデメリットが考えられるかをイメージしながら考察してみましょう。 そうでないと、研究する意味がぼやけてしまいますからね。

▼ ソーラーハウスの考えられるメリットとデメリット

ここでは、イメージしたソーラーハウスの住まいはどのようなメリットがあり、どのようなデメリットが考えられるかを、こんな風にできたらいいなあという思いも込めて考察してみようと思います。

ソーラーハウスのこの時点で考えられるメリット

メリット① 間仕切りのない大空間で暮らせる?
家の間仕切りを取っ払い大空間にした場合、通常は冷暖房の効きが悪くなります。
そのために家の間仕切りを細かくして、個別の冷暖房機器を取り付けるという方法で暑さや寒さに対処してきました。
ところが、この方法が実はCO2 排出削減さらに地球の温暖化防止に逆行しているということが分ってきました。
もともと、日本の家屋は田の字型のオープンな部屋で、場合によっては寝食をかねたような部屋でありながら、家族の団欒の場としての機能も兼ね備えた、良い意味で、とてもフレキシブルな大空間の家がほとんどでした。
経済状況の変化に伴い、家の洋風化、設備品の高級化、ライフスタイルの変化等により、今のような家づくりになってしまった一つの背景があります。

最近の子供達の非行化や犯罪、いや大人達でさえ信じ難いような犯罪、若年層の肥満率の増加など、頻繁に見られるこれら社会的現象は、家のありようとは無縁のものなのでしょうか?

答えは歴史が判断してくれる のでしょうが、良い悪いはともかく、少なくとも、家族の団欒が阻害されていることによる、人間としての生き方や考え方に多少なりとも悪い影響を与えているのではないかということは推測できます。

間仕切りのない大空間が出来て、例えば居心地の良いリビングに家族の楽しい団欒が生まれるとしたら、家族の絆や子供たちへの教育上からも、絶対に検討に値すると思われてなりません。
それと、この大空間に身を置いた時の何とも言えない気分の良さは、経験した人でないと分らない異次元の世界でもあります。

メリット② 目覚めたときから温かい?
この快適さは論を待たないでしょう。
たとえば、前の晩にタイマーをセットして、朝の6 時にエアコンが作動するようにしておけば、一応快適な朝を迎えられるのかもしれません。

体感温度や快適さには人それぞれ感じ方が違うような気がします。

エアコンの暖かさとストーブの暖かさとは感ずる質に明らかに違いを感じます。
同様に、太陽熱が運んでくれる温かさはどうでしょうか。
この領域は体験してみないと決して分らない、絶妙の自然がもたらす質の温かさであろうと推測できます。
頭の辺りは暖かいけど足元がスースーして冷える。エアコンの設定温度を26 度とか28 度にしても、部屋全体が暖まらない。こんな経験は誰でもしています。
トイレや洗面所にいくと、いつもヒヤッとする。これもそうです。
場合によっては、急激な温度の変化に体がついていかず、脳梗塞みたいなことになる可能性だって否定できません。
いや、そういうことが原因で多くの方が命を絶っ ていることが明らかになっています。

太陽熱を利用した暖房で、目覚めの快適さを毎朝味わえるのなら、また病気を引き起こしにくくなるのなら、そしてエコロジーに少しでも貢献できるのなら、最優先で考えなきゃいけないだけの価値のある決断のような気がし ます。

メリット③ 真冬でも観葉植物がすくすく育つ?
ある人がこんなことを言ってきました。
趣味で胡蝶蘭を育てていたけど、温度管理が難しくて、とてもじゃないけど付き合いきれない。止めてしまった。
家の中の温度は、特別な対策を施さない限り、春夏秋冬、朝、昼、晩、晴れた日曇った日、雨の日、雪の日により激しく変化します。この変化があるが故にもたらされる植物の美しさに私たちは癒されたりします。
最近のガーデニング志向などで、家の中で観葉植物を育て眺め楽しむ人がとても多くなりました。とても良いことだと思います。
家の中の植物たちは、これまで温度の低下に抵抗する為にエネルギーを注いでしまい、すくすく育つほうに神経が行き届かないのかもしれませんね。
もしも、真冬の家の中の温度が一日中ぽかぽかした温度だったら、観葉植物たちはどんな反応を示すのでしょうか。興味はありませんか?

ソーラーハウスのこの時点で考えられるデメリット

デメリット① コスト負担が大きい?
通常の設備よりもコストがかかるだろうぐらいはどなたでも創造できます。
その意味でデメリットとしましたが、しかしコストを考える場合、対投資効果と価値との問題について論じなければなりません。
当然イニシャルコストやランニングコストのことは比較検討しなければなりませんが、単なる光熱費などだけの比較ではなく、ソーラーハウスにすることによる、メリットのところでも述べたような、有形無形の価値をどの ように判断するかだと思います。
高い安いという考え方よりも、価値があるかどうかのほうにシフトした考え方が大事なような気がします。
どちらにしろ、給湯器や冷暖房機器は今や必需品ですので、設備しなければならない訳です。
それに掛るコストに少しだけ追加するだけで、異次元のとても快適な価値ある空間が手に入るのであれば、安い買い物だと 思います。
デメリット② 天気の悪い日はどうするの?という疑問
当然考えられる疑問です。
太陽熱を予定通り得られない日は年間を通して相当あります。
つまり雪が降ったり雨だったり、曇りの日は太陽光線が当りません。
その日は太陽熱を思うように集められませんので、お湯を利用出来なかったり、暖房が効かなくなって寒くなるのではという心配があります。

このあたりを技術的にどう解決していくかが問われます。後述します。

次からいよいよ本論に入ります。
どのような方法で太陽熱を集め、そして、集めた太陽熱をどのようにして具体的に利用、活用していくのかを述べてみます。
もちろん、イメージの域を出ないこともあり、実用可能かどうかは今後の研究にまかせるしかありませんが、ほぼ、可能だという思いは持っております。

▼ 太陽熱の集め方と利用方法

ここでは、どのような方法で太陽熱を集め、そして、集めた太陽熱をどのようにして具体的に利用、活用していくのかを述べてみます。
太陽熱はこうやって集める

集熱用のパネル(ガラス箱のイメージ)を屋根に設置する

左図のように、屋根の上に集熱用のパネルを乗せて太陽熱を集めます。
このパネルの中には通常水を入れることが考えられますが、水の場合、厳寒の地方ですと凍ってしまいパネルが破壊されることも考えられますので、車のラジエターなどに入れる不凍液を利用します。
つまり、太陽光線でまずは不凍液を暖める訳です。
上図ではパネルが10 枚程度乗っかっていますが、実際にはもっと多くのパネルが設置されることになります。
何枚にするかは建物の規模等によって計算します。コストのこともありますので、無駄になるようなことは避けなければなりません。

不凍液を通して集められた太陽熱を1階の床に蓄える。

1 階の床というよりも1 階の基礎のベースコンクリートといったほうが正しいかもしれません。
この図は地下室+2 階建てのプランです。
通常は2階建の場合のべた基礎のベースコンクリートに、くまなく配管しそこに不凍液を通して太陽熱を蓄えます。
この図の場合でいいますと1 階床スラブコンクリートに配管してあります。(○が配管イメージ)
ここで蓄えられた太陽熱が床を伝わって、上へ上へと上昇していきます。
床は一日中暖められていますし、上昇した熱は2 階まで到達しますので、全館温められるという仕組みです。
余熱が地下室まで届くものと予想されます。

この画像は、地下の床スラブにも配管した例です。
この地下スラブにまで配管すれば、より効果的だということは理解出来ますが、1 階スラブからの余熱が期待できますので、コスト的なことも考えますと、あえて必要があるかどうかは検討の余地ありですね。
いずれにしても、基礎ベースに不凍液を通す配管をして、屋根で集めた太陽熱をここに蓄積しておきます。
そして、リビングの一部を吹き抜けにして、熱を2 階まで行き渡らせる工夫さえすれば良いわけです。

不凍液を通して集められた太陽熱を貯湯タンクに蓄える

貯湯タンクの中は、不凍液を通すための管をらせん状に配管し、そして水を貯めます。
熱を持った不凍液で暖められた管が水と接することでお湯になります。とまあ簡単に説明しますとこんなイメージです。
蓄えられたお湯をポンプで台所や風呂やトイレに給湯します。
通常のご家庭の場合、だいたい370 リットルくらい蓄えられるタンクで十分だと思います。

▼ 建物内部の変化と考察

このテーマの最後に、ソーラーハウスの内部では通常の住まいと比べて、どんな点が違うのか、またどんな変化が起きるかを見てみることにしましょう。

あらかじめ建物本体に施さなければならないこと

先述しましたが、太陽熱を地球の地表面で測定しますと、1m四方(1㎡)の1時間あたりのエネルギーは、わずか1kw程度だと言われています。
ですから、あらかじめ次のような対策を施しておくことで、太陽熱を最大限効率良く無駄なく利用することが出来ますので、より良い結果が得られるはずです。

断熱材について
断熱材はご存知だとは思いますが、熱を通しにくくする材料のことです。
材料によって熱を通しにくくする度合いが違います。
熱を通しにくくする度合いのことを「熱抵抗値」といいます。
この「熱抵抗値」は住まいで主に使われる材料については次のようになっています。


数値の高い材料ほど熱抵抗が高い、つまり熱が伝達しにくい材料です。
もちろんこの他にも多くの断熱材がありますが、いずれの断熱材でも、この「熱抵抗値」の高い材料を施工したほうが効果は高まります。
また、たとえば上表の硬質ウレタンフォームの場合100mm 厚ですとさらに値が高くなりますから、より効果的だということになります。

この断熱材を、外周周りの壁(外壁)や基礎のベースコンクリート、天井裏などに施工することで、室内の暖まった空気を外部に逃がさない工夫が必要となります。

窓について
窓には必ず複層ガラス(ペアガラス)にして、内部の熱を逃がさないようにすると同時に、外部の冷たい熱をできるだけ入れないようにします。
また、窓の大きさも、必要以上に大きくしないことです。窓からの熱損失は想像以上に大きいのです。

それでは、一般的な家と比べて、ソーラーハウス内では、どんな変化が起きるかを見てみることにしましょう。

24時間全館暖房と給湯 ⇒ 日向ぼっこの気分

真冬の寒さが気になりません。
床からいつも温かさがぽかぽか伝わってきますから、まるで一日中日向ぼっこをしている気分です。
この床暖房の最大の特徴は、部屋全体が暖まりますので、エアコンみたいに足元がスースー寒いなんてことはありません。
この居心地の良さは、インテリアやアロマテラピーより何よりもか得難い抜群の快適さです。

以下はその例です。イメージしてみてください。

  1. 真冬の朝、布団から出る時のあの辛さは皆さん経験済み。
    この辛さよバイバイです。朝起きたときの爽快さは説明がつきません。
  2. 夜中のトイレ。これも嫌ですね。
    ヒヤッとした寒さはほんとに身体中が萎縮するぐらいです。特にお年よりは要注意ですね。
    それが、このソーラーハウスはそんなことは全くありません。
    部屋だけが暖かくて、トイレや廊下や脱衣場などが寒いということがありません。
    家の中のどこに行ってもぽかぽかですから・・・
  3. 観葉植物が驚くほどすくすく育ちます。
    植物は、もしかしたら人間より温度や湿度に対して敏感かもしれません。ソーラーハウスの中は、程よいビニールハウスにいるようなものですから、多分植物たちも大満足だと思います。
  4. ペットたちも嬉しい笑顔。
    植物もそうですから、もちろんペットたちも大変に喜んでくれる筈です。
    もしかしたら外の散歩を嫌がるかもしれませんね。外は寒いですからね。
  5. 一日中快適。
    外は寒くても、中は家のどこにいても春の陽気でいつもポカポカ。なんという贅沢でしょう。
  6. お湯がふんだんに使える。
    台所やお風呂のお湯を、光熱費などを気にしなくてもよく使えるって嬉しいことです。
    これも太陽熱が恵んでくれる贅沢のひとつでしょう。ありがたいことです。
リビングの吹き抜け ⇒ 2階までぽかぽか

ソーラーハウスを造る場合、必ずどこかに吹き抜けを作る必要があります。
これは、1 階の基礎のベースコンクリートによって温められた空気が、上昇して2 階部分まで暖かくするための、空気の通り道と思っていただければイメージしやすいかもしれません。
上昇空気はどんな小さな隙間にも侵入できますので、間仕切りされた2 階の各部屋が、いつの間にか暖かくなってしまう訳です。
出来ればリビングに吹き抜けを造って大空間を構成しますと、インテリア的にもとても面白くなりますからお勧めです。

家の内部の温度差の解消 ⇒ 一つのバリアフリー

バリアフリーは床の段差の解消やスロープといったことだけではなく、精神的なバリアを取り除く意味にも解釈すべきだと思います。

ここでもう一つ、温度差のバリアを取り除くこともバリアフリーの考え方ができると思います。

寒い部屋と暖まった部屋。
たとえばエアコンの効いたリビングから、寒いトイレに行く。この時思わず人は誰でも抵抗を感じます。何に抵抗を感ずるかといいますと温度差です。この温度差が健康上にもバリアになっていることに気付くべきです。
家の中のどの部屋に行ってもほぼ同じ室温。
これが理想的な家ですね。ソーラーハウスはこれを可能にする優れものです。

結露を防ぐ ⇒ カビやダニの発生を抑える

建物内部で起こる結露とカビやダニとの相関関係は、もはや疑う人はいないと思います。
カビやダニの発生を抑える方法の一つに、結露対策があります。
どうして結露が起きるのかご存知ですか?
早い話、ビール瓶の表面にできる水滴を思えばすぐ理解出来ます。
冷蔵庫の中のビール瓶には水滴はついていませんが、一旦冷蔵庫から取り出して暫らくしますと瓶の表面に水滴が出来てしまいます。
これは温度差による水滴ですね。
つまり、瓶の中の冷えたビールが外の高い室温に触れて空気が水滴になって瓶の表面に現れる現象です。
まさに温度と湿度と空気のバランスの問題です。

これと同じような現象が、実は部屋の中で起こっていると思えばいい訳です。
寒いから暖房を掛けます。
室温が上昇し部屋の湿度に変化が生じます。
加湿器などで湿度を調節したりします。
そうして、就寝時に暖房を切りますと、室温が急激に低下し、空気中に含まれる水分が飽和状態になり、余った水分が水滴化してしまいます。
朝起きて窓ガラスや押入れなどがビショビショになってしまいます。
ダニやカビに格好の環境を提供してしまう訳ですね。
こんな間違った考えもあります。
一般的にカビやダニは、梅雨時のあのジメジメした季節に起き易い、と思われがちですが実は違います。
もちろん他の季節に比べて発生しやすい季節ではあります。
それよりも、最近の高気密な家ほど、冬におきる結露が原因でカビやダニが、より深刻な状態で発生することが指摘されるようになってきました。
ソーラーハウスは優れた断熱効果と24 時間暖房により、これらの現象が起こりにくい環境を作り上げていますので、カビやダニが発生しにくいということになります。

これまで述べてきました、太陽熱を利用したソーラーハウスは、まさに今の時代が求める、抜群の省エネ効果とCO2 排出削減を実現してくれる画期的な住まいだといえます。

⇒ 理想的!これがほんとのエコロジー ですね。

ソーラーハウスは、ローコスト住宅をお望みの方には少し手が届かないかもしれません。
しかしながら、ほんとにご家族の健康はもとより、日々の光熱費を節約できたり、長持ちする家になりますので、このソーラーハウスを是非検討されるようお勧めしています。