ゼロから学ぶ失敗しない家づくりの為のノウハウを提供しています

◇ 天寿を全うする家

人の寿命の大切さを説いた「天寿を全うする」という言葉がありますが、家に置き換えますと「天寿を全うする家」ということなります。
周囲の方々から祝福され、丈夫で長持ちする家、そして、とても工夫された家のイメージとして捉えてください。
そんな家にするにはどうすれば良いのでしょうか?
ここでは、そんな視点から考えて見たいと思います。参考になれば幸いです。

▼ 地盤と基礎

敷地が硬いか柔らかいかは非常に重要な要素です。
それだけではありません。例えば敷地の半分が盛土で、残りの半分が切土なんていうのもあります。そんな土地のいわば性格を把握しないで設計して基礎工事をした場合の、恐ろしい程の悲劇を引き起こした事例が割合と多く散見されます。
平常時はさほど感じなくても、集中豪雨や強い地震に見舞われますと、牙をむき出し目を疑いたくなるほどの惨事となります。常識で考えても、土地の上に大きな重石が乗っかっているようなものですから、当然土地が柔らかい場合沈んでしまいます。

「なあに鉄筋コンクリートならいざ知らず、木造の家は軽いですから大丈夫ですよ」
なんてことを言う業者がいたら相手しない事です。
その言葉を鵜呑みにしたつけは大変なものです。悲劇という言葉で済まされない過酷な現実を経験する事になります。
家を造る際に最も重要なものの一つである事を肝に銘じるべきです。

逆に、業者がしきりに地盤の調査をしたほうがいいことを進めても、施主の方で、
「費用も掛かるしこの土地の事は俺が一番知ってるから、そんなのしなくても大丈夫だよ」
なんてことを言われる場合があります。
「じゃ地盤の事でもしものことがあったら、責任を取ってもらえますか?」
という業者の主張に、
「ああ、いいよ」
と応えた施主が、責任を取った例がありましたらお目に掛かりたいです。
ま、業者の方は、せめてもの良心として、そんな家の受注はしないほうが無難ではないでしょうか。それほど重要ということですね。

基礎の構造(形)は地盤と相談しながら進める。これが大原則ですし、絶対に無視してはならない鉄則です。

地盤の硬さを調査する方法はいろいろありますが、せめてスウェーデン式サウンディング試験という割合簡単に調査できる方法がありますのでお勧めです。調査費用も5万円程度です。

どんなに素敵なデザインの家や気に入った間取りでも、地盤と基礎の問題を解決しない限り、砂上の楼閣に化すことを知るべきです。

▼ 高気密高断熱について

最近とみにこの言葉を耳にしますから薄々はご存知かもしれませんね。これを専門的に詳しくお話するには紙面が足りません。概略説明しておきます。下の画像と説明をご覧下さい。

外壁は柱の外側に厚い(50~100mm)板状の断熱材を取付けます。その断熱材のさらに外側に通気層を設けます。(18~21mm程度)

屋根も垂木の外側に厚い(50~100mm)板状の断熱材を取付けます。その断熱材のさらに外側に通気層を設けます。(45~60mm程度)

屋根の棟には排気の為の換気金物を取付けます。

1階の床下にも、根太と根太の間に隙間なく、板状の断熱材(25~50mm)を取り付けます。

窓は二重サッシもしくはペアガラスにします。

高気密高断熱の家で注意しなければならないのが部屋の換気です。
気密性が高まれば高まるほど、部屋の中の空気の対流がなくなり、空気が汚れてきます。
時々窓を開けたりして新鮮な空気と入れ換えれば良いのですが、今まで保ってきた部屋の温度が、外部の温度の進入で、冬は冷たい空気が夏は暑い空気が進入してきます。

これを防ぐ為の換気システムがあります。
例えば冬の場合、暖かくなった空気を保ちながら室内の汚れた空気を排出すると同時に、新鮮な空気を取り入れるシステムです。一見矛盾してるように思えますが、機械的に処理する能力を備えていますので安心です。
この熱交換型の24時間換気システムを併せて設備することをお勧めします。

夏は涼しく

夏は涼しく

夏は外部の温度がかなりの高温になりますが、通気層を通して熱が上昇し屋根の棟に設けられた換気孔から外部に排出されます。残りの熱は、外壁の柱の外側に設けられた断熱材で室内への侵入を防ぎます。
屋根についても同様です。特に屋根の場合は、真夏時の屋根裏の温度が80℃にもなる時があります。この熱は外壁の通気層から上昇してきた熱と共に棟の換気孔から外部に排出されます。但し、棟換気の排出量が少ないと効果が期待できない場合がありますので、注意しなければなりません。

一方内部のエアコンの熱は、断熱材やペアガラスにより外部への損失が少なくなり、いつまでも快適な状態を保ちます。ですから電気代が大幅に節約できます。
冬は暖かく

冬は暖かく

冬は外部の温度がかなりの低温になりますが、通気層を通して冷たい空気が上昇し屋根の棟の換気孔から外部に排出されます。残りの熱は外壁の柱の外側に設けられた断熱材で室内への侵入を防ぎます。
屋根についても同様です。特に屋根の場合は真冬時の屋根裏の温度はかなり低温になります。この冷たい空気は外壁の通気層から上昇してきた空気と共に棟の換気孔から外部に排出されます。但し棟換気の排出量が少ないと、効果が期待できない場合がありますので注意しなければなりません。

一方内部のエアコンの熱は、断熱材やペアガラスにより外部への損失が少なくなり、いつまでも快適な状態を保ちます。ですから電気代が大幅に節約できます。

▼ 湿気対策

日本の夏は高温多湿の気候をしています。この高温多湿がシロアリの絶好の生活環境になってることは既にご承知だと思います。日本の家屋は、この湿気を如何に取り除くかの歴史と言っても過言ではないと思います。

地方に行きますと、今もありますが、床下を高くして開放したり、軒の出を深くしたり、常に建物内部を通風できるような構造になっています。
しかし最近の住まいは、基礎(床下)が低く気密性が格段に良くなり、空気の対流が極端に少ない家が主流になってきました。

家の造り方を一歩間違いますと、シロアリの絶好の場所を提供することになりかねません。くれぐれも注意したいものです。
それと、これらの近代住宅は夏よりも、むしろ冬に建物内の湿気が充満することも知っておく必要があります。冬の結露は家の寿命にとって最大の敵です。

▼ その他の対策

次のような点を採用するだけでも家の寿命は大幅に延びます。

床下の防湿シート

左の写真のように、床下に、ビニールの防湿シートを敷き、その上に、土間コンクリートを打つかベタ基礎にします。

床下の換気

左の写真のように、床下の換気が充分取れるように工夫する。
土台を、基礎の天端より浮かし、直接基礎に接しないようにします。

左の写真は、最近良く採用されている、基礎パッキンという部材ですが、これらをほぼ満足する商品ですので、選択肢の一つだと思います。

床を支える束

また、左の写真のように、床を支える束というのがありますが、この方法を採用する場合は束を鋼製にします。

左の写真のように、床束を無くする方法もあります。この方法の良いところは、床鳴りがしないということと、作業性が高まるということです。

外断熱

上述の「高気密高断熱」の家にします。
最近、従来からの内断熱よりも外断熱のほうが優れていると言われるようになってきました。理論的に優れた考えだと思います。コスト的に高くなる点は否めませんが、一考に価します。
湿度を調節してくれる材料

内部に使用される材料で湿度を調節してくれる商品があります。
一つの例ですが、あるメーカーが出している「しつど番」という商品があります。ボード状になっていて、押入や洋間の収納や納戸・WCL等の壁と天井に使いますと湿気が殆どなくなります。

これは、このボードが非常に優れた吸湿性を持っているからです。
石膏ボードを貼り、その上にクロスを貼るよりも、少々値は張りますが、カビによる衣類の被害や健康上のことを思いますと、むしろ安い買い物だと思いますがいかがでしょう。一度試されてみてはいかがですか?