弘前学院外人宣教師館-内部 日本の木造洋風住宅の歴史
(学習研究社/「日本の民家」第八巻・洋館より)

日本の木造洋風住宅の歴史は140余年とまだ新しい。
しかし、日本の洋風民家の歴史から学ぶべき点は多々あると思います。その様式やスタイルは、今日の住まいづりに少なからず影響を与えていることは否めません。
弘前学院外人宣教師館-外観

弘前(ひろさき)学院外人宣教師館

青森県弘前市
明治三九年(一九〇六年)
木造二階建 鉄板葺
建築面積 一六三・六㎡
東北地方北部の建築様式は、その風土的な条件のためか、本州のヨーロッパ志向よりも北海道の北米志向の影響が大きいようである。北米から派遣された宣教師たちもこの傾向をさらに助長した。弘前は早くからキリスト教伝道を受け入れ、この弘前学院外人宣教師館は同学院に派遣されたアメリカの婦人宣教師の宿舎にあてられ、昭和四三年まで使われていた。建物は木造軸組工法で、白ペンキ塗りの下見板張り、各隅部に柱型をかぶせ、上下階境に胴蛇腹をまわす。開口部額縁を強調し、軒周りを持送りで支える典型的な北米系スティック・スタイルである。昭和五三年に重要文化財に指定された弘前学院外人宣教師館は、キリスト教伝道の状況を示す好資料であると同時に、北米系スティック・スタイルが東北地方の風土にあった形で定着したことを示している。
現所有 弘前学院大学・弘前学院短期大学