(学習研究社/「日本の民家」第八巻・洋館より) しかし、日本の洋風民家の歴史から学ぶべき点は多々あると思います。その様式やスタイルは、今日の住まいづりに少なからず影響を与えていることは否めません。 |
旧グラバー住宅長崎県長崎市文久三年(一八六三年) 主屋 木造一階建 桟瓦葺 建築面積 一六三・六㎡ 付属屋 木造一階建 桟瓦葺 建築面積 一二九・ニ㎡ 安政六年(一八五八年)の長崎開港と同時に、多くの異人たちが長崎に商館を開いた。グラバー邸もそのひとつで、現存する長崎最古の洋館であると同時に日本最古の洋館でもある。この建物は、アーチ型の菱組透かしスパンドルを持つベランダをめぐらしたバンガロー形式。ベランダ天井は木を斜めに組み合わせた菱組網代天井で、わずかに湾曲されている。開口は内側両開きのガラス扉で外側は鎧戸をもつ。この開放的な形式は東南アジア系コロニアル・スタイルの典型であるが、日本の伝統工法、木造軸組工法で建築され、細部意匠にも和風の趣が濃い。洋風の手法はあまり完成されたものではないが、明治初期の洋館に大きな影響を与えている。グラバー邸は、まさに日本の洋風住宅の原点といえる。現所有 長崎市 |