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◇ 第6話 パニック

 私は、携帯電話の音で目が覚めました。ソファーに深く身を沈めたまま眠っていたようです。半分うつらな感覚でしたが、ポケットから携帯を取り出しました。携帯の小さな窓からしきりに青白い光が点滅していました。他の客の迷惑になってはいけない。私は無意識に店のドア方向に歩きドアを押し開きました。頭上で鈴の音が激しく鳴りました。駐車場の砂利がザクッザクッと4、5回音を立てました。そして、背の方向で、カチッというドアの閉まるかすかな音を聞きました。
 携帯電話のカバーを急ぎ開いてみましたが、登録しされていない方からの電話でした。こういう場合、経験上、大抵は間違い電話が多い。半分はまだ眠気が残っている。内心、なんだよ、また間違い電話かよ。と思いながら私は耳元に受話部を当てました。
「はい。もしもし……」
 すると、
「決心がつきましたか?」
 囁くような声でした。知らない女性からの電話でした。でも何となくどこかで聞いたような声でしたが、それが誰だかは思い出せません。私は言いました。
「あのー、どなたにお掛けですか?」
 すると、また囁くような、それでも細くはっきりとした口調で、
「あなたとお話しています」
「あのー、失礼ですがどなた様ですか?」
 その女性は、それには応えず、電話の向こうで、
「フフ 今日の珈琲いかがですか?・・・・・ おいしいですか?」
えっ?何?
 私の心は、状況が飲み込めていません。半ばパニック状態です。眠気が一気に解凍してしまいました。同時に、一瞬どうして番号を?と首をかしげながら耳元から携帯を離し、無表情の黒い画面を見つめながら考え込んでしまいました。確かにどこかで聞いたような声なのです。しかし、眠気からさめても、私にはさっぱり思い出せません。左手で持った携帯の受話部を再び耳に……。するとまた、
「決心がつきましたか?」





第6話 パニック
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