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◇ 第8話 決心

 私はその女性に、自分の全てを預ける決心をしました。預ける、はっきりとした理由は見当たりません。ただ、ただ……、あれ以来毎日のように何かが私に囁くのです。私の心の奥底から激しい叫びが聞こえるのです。私の全身を縦横無尽に駆け巡る、凄まじいばかりの異様な何かが、感覚となって自分に溶け込んでいく様を、はっきりと意識が捉えて離さないのです。
 ですから、ですから……、ただ、預けてみようと決心したのです。自分の全てを預けて何が起こるかは、もちろん確信をもてる筈はありません。でも、自分の全てを預けてみようと決心したのです。
 いや正直なところ、女神の言葉を拒否することの恐ろしさを想像してしまい、だから決心した、と言い直したほうがいいかもしれません。

そういう訳で、とうとう私は、その女性の導きのまま行動してみようと心に誓ったのです。
 今度、女神とぼしき、あの女性から電話があったら、自分の意思を告げることになると思います。はっきりとした意識と、しっかりと確信を持って、そして、純粋な気持ちで自分の意思を告げる準備は整っています。





 私は今日も、いつものレストハウスの窓辺で、その美しい山の姿に見とれながら、もしかしたら、この店での最後の珈琲になるのではと思いながら、その味を楽しんでいます。
 でも、その珈琲の味がいつもと違う味なのです。私が気に掛けていた女店員の姿がないことが関係しているのでしょうか。あれ以来、あの美しい若い女店員の姿を見ることはなくなっていたのです。とても切なくて、寂しくて、心にぽっかりと開いた穴から、隙間風が容赦なく吹き、そのヒューヒューと鳴る音が、私の心の奥で、すすり泣いているように聞こえてきます。

第8話 決心
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