この物語は正義感に満ちた一人の男の物語です

第5章 疑惑 ②

めもるの奇跡

◇ 第5章 疑惑 ②

設計1課の歓迎会や送別会、昇進祝いなどの行事は、大抵は座敷での宴会が多かった。しかし今夜の送別会は会社の近くのホテルで行われた。  会場の入り口のドアは開け放たれていた。幹事の若林がその入り口付近に立っていた。小さな紙袋を持ち、会場に来た社員に、中の紙切れを引くように促していた。紙にはテーブルの番号が書かれていた。くじで席を決めようという訳である。総勢約30名が六つの円形テーブルに着いた。
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