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◇ 構造用合板を柱・半柱・間柱に直接取り付けた耐力壁について

この記事は約3分で読めます。

構造用合板を柱・半柱・間柱に直接打ち付けた耐力壁は、施工精度の問題はありますが、筋違を使った耐力壁に比べ、強度など多くの点で優れています。ですから、住宅の外壁面においては筋違を省略し、代わりに構造用合板を柱・半柱・間柱に直接取り付けて、高い耐震性や耐風性を確保しようという動きが近年多くなりました。また、構造用合板と筋違の両方を使えばさらに強度を高めることができます。
ここでは、当サイトに掲載されている【構造用合板+筋違】の物件について所見を述べてみたいと思います。

当サイト内で耐力壁を【全筋違】及び【構造用合板+筋違】で構成した物件をそれぞれ数多く掲載していますので、ご利用いただければ幸いです。

耐震上のチェックポイントを完全クリアし、耐震上最も優れた技術的根拠としての『偏心率を限りなくゼロに近づける』ためのシミュレーションを行い、結果として、高い耐震性の実現を目指したモデル物件の図面集を掲載することで、これから家を建てようかと思っている方々の為に、少しでもお役にたてればという強い思いでいます。それが当サイトの基本理念です。

当サイトで特に強く主張している、『偏心率を限りなくゼロに近づけることによる耐震性能の向上』という考えは、【構造用合板+筋違】の物件に於いては、構造用合板と筋違の両方を使うことを念頭にプランニングしたものです。つまり、外壁面材として全面に構造用合板を配し、有効耐力壁を確保した上で、偏心率の変化を見ながら内部の筋違の取付位置を探り、『偏心率を限りなくゼロに近づける』という手法です。これによりかなり高い耐震性能の実現を可能にすることが出来るという考えです。
しかし、理論上はそうでも、実際の現場での施工精度がいい加減ですと、それなりの強度しか出ませんので注意が必要です。

余談ですが、『単に外壁だけに構造用合板を取り付ければいい』と主張している技術者がいますが、その考えには少々疑念があります。どうしてかと言いますと、耐震上最も考慮すべき点として、上記の『偏心率を限りなくゼロに近づける』ことが必須だと考えるからです。
どういう事かと言いますと、あくまで偏心率の数値を司っている、重心と剛心の位置関係から耐震度を判断しなければならないからです。重心と剛心のバランスが大きく崩れた場合は、倒壊の危険性が増すことを認識しておくべきだと考えるからです。実際にに計算しますと、単に外壁だけに構造用合板を取り付けた物件は、耐震度が低くなるケースが多々あることが分ってきました。
参考 実例を挙げて詳しく考察
必見 偏心率は何故0に近いほうが良いのか

【参考】
構造用合板を柱・半柱・間柱に直接取り付けた耐力壁とする際の規定について法律では、木造軸組工法の建築物では、厚さ7.5mm以上の構造用合板(特類)を、N50釘を用いて外周部・中間部とも150mm間隔で軸組み(柱・梁・土台)及び間柱に直接打ち付けることにより、壁倍率2.5倍の耐力壁を作ることができると定められています。
この際、次のような注意が必要です。

  • 釘の種類と間隔を守り、釘頭が構造用合板にめり込まないようにする。
  • 尚、梁の出に干渉する部分は、構造用合板を欠き込み、その付近の釘を増し打ちする。

また、枠組壁工法の建築物では、厚さ9mm以上の構造用合板(特類)を、CN50釘を用いて、外周部においては100mm間隔、中間部においては200mm間隔で枠組みに直接打ち付けることにより、壁倍率3.0倍の耐力壁を作ることができます。
この際、次のような注意が必要です。

  • 釘の種類と間隔を守り、釘頭が構造用合板にめり込まないようにする。