◇ 下請業者から一切見積書は取らないで原価を確定する方法

◆ 適正利益=企業の存続という常識 ◆
SUNCAD-ULTRA-W
受注した物件から、どれだけの荒利を捻出できるかを、事前(工事着手前)に把握することは、敢えて言うまでもありませんが、極めて重要なことです。
「適正な利潤なくして会社が存続できるはずがない」という言葉は、至極当然で、当たり前の考え方だろうと思われます。もちろん、ある理由で、止むを得ず利潤を度外視して受注せざるを得なかった物件も、たまにはあるかとは思いますが、いずれにしても、物件の原価を常に意識しておかなければならないことが、重要であることには変りありません。

◇ 下請業者から一切見積書は取らないで原価を確定する方法
どういうことかと言いますと、ずばり、
一般的に、下請業者への発注額を確定する手段として、各下請業者から見積書を提出してもらって、これらをチェック・集計して最終的な実行予算書を作成していると思われます。

しかし、ここでのテーマは、これを一切行なわないで原価を確定する。というものです。
「えっ、そんなことが出来るわけないだろう」
と、驚きの声が聞こえてきそうです。
「もし、そんなことが出来たら助かるなあ。ほんとにそんなことが出来るの?」
なんて声も聞こえてきそうです。

答は「イエス」です。出来ます。

いえ、これは実は得意げに言うほどのことではないのです。
実践されている会社様が存在し、成果を上げておられます。
その中に、これから申し上げる方法で、年間に相当の金額を浮かし、利益を享受していらっしゃる業者様がおられます。

実は、これから申し上げる方法については、
私どもが、「
やってみる価値は十分にありますよ」
と、強くお勧めしたことなのですが、その業者様から、出来れば他には漏らさないでくれと、きつく依頼されているほどの方法なのです。

どういう方法なのかということをこれから申し上げますが、聞いてあきれるほどの簡単な方法なのです。
説明は、SUNCAD-ULTRA-Wシステムを使用した場合の例として、ご説明いたします。

まず、

  1. 工種と業種の設定をします。
    つまり、どの工事をどこの下請会社に発注するかのマッチング作業をします。
    ⇒ 参考例
    工種はある程度定まっていますが、
    業種は現場ごとに変る可能性もありますので、一つの工種に対して複数の業種があるものと思われます。
  2. 下請会社から、見積単価情報をだけを提出してもらいます。
    単価または工事費は、規模によって変化する場合がありますので、その辺も正確に記載したものを提出してもらいます。
    規模によって工事費に違いが出る例としましては、水盛遣方があります。
    水盛遣方の工事費は、建物の一階の面積が30㎡の場合と100㎡とでは、単純に単価を掛け合わせても、実情にそぐわないことが考えられます。
    この場合は、例えば50㎡以下の場合は、単価掛けではなく、最低金額を設定するなどの措置をしておく必要があると考えます。
  3. 提出されたこれらの単価を、単価マスターに登録します。
    記入例 ⇒ (外壁) & (下地材)
    登録する際に、合わせて、単位、お客様に提出する際の単価や工事NOや工種NO、下地材、数量係数単位、最低金額など詳細に登録する。必要ならグレード別の単価を登録します。
  4. 手拾いのときに使った計算式を登録します。
    手拾いで積算するときには、必ず計算式があるはずです。
    SUNCADの場合、計算式は殆どがデフォルト(設定済データ)で登録されていますので、そのままでも、全く不便は感じません。
    工事項目を新たに設けて、自動で計算させたい場合などは、新たに計算式を登録し、しかるべきマッチング作業を行なえば、積算・見積書に反映させることが出来ます。 ⇒ 具体的な例
  5. 各部屋の仕様(仕上)を設定します。
    必要ならグレード別の仕様を登録します。
  6. 最後に、登録や設定されたデータが、ほんとに正確なデータとして出力するかどうかの検証作業を十分に行ないます。
    入力されたデータの信憑性に確信が持てなければ、意味がありません。
    場合によっては、自分が設定・登録した計算式に誤りがあるかもしれません。また、システムが元々持っている計算式のチェックをする意味からも、出来れば実物件を数物件程度の検証作業を徹底して行い、データのしっかりした裏づけを持っておくべきだと思います。

    例えば、構造材の単価を登録する際に、単価そのものは別に問題はありませんが、本数が正確に拾い出されるかどうかの確認が必要です。
    確認する為に数物件を別々の木材業者に拾ってもらい、システムが拾い出した本数との照合など、詳細に渡って比較検討して、データの信憑性を高める努力をします。

    特に木材の場合は、継ぎ手の問題やプレカットとの絡みなどもあり、難しい面もあるかとは思いますが、出来ないことでは決してないと思います。

    何故そこまでしなければならないのかといいますと、
    システムが算出した数値(数量)に対する絶対的な信頼を持って、各下請業者との交渉に当るためです。

これだけで、業種ごとの発注見積明細書をみごとに作成してくれます。  参考例
これらの設定は、最初にしておくだけです。全物件に適用してくれますので、楽々ありがたやありがたやとなります。

ここまで出来れば、あとは流れ作業です。

次に、作成された各下請業者への発注書を、それぞれ下請業者にFAXします。
その場合、下記のような文言を付してFAXされることをお勧め致します。

当発注書の内容に疑義のある方は、当社にて疑義事項についての打合わせを致しますので、 前もってご連絡いただいた上で当社にお越しください。

ややもすると、下請業者が、機械の算出した数量に不信感を持つのは、ある意味当然かもしれません。しかし、十分な検証作業し、数量の正しいことを確信している訳ですので、自信を持って説明し、納得してもらう努力は必要かと思われます。

実は、このような方法は、下請業者がとても喜んでいるという事を聞いております。
特にパパママ下職の場合、忙しいのに疲れて帰ってきて、手拾いの見積書をせかされて提出しなければならないこともある訳ですので、それをしなくて良いとなれば、それは嬉しいに違いありません。

元受と下請の信頼関係さえあれば、むしろ、この方法は大歓迎される方法だと確信するものでございます。
見積書を作成する時間や、提出する為に足を運ばなくてはならない時間やガソリン代などの無駄を省くと同時に、事前に、アバウトではない、きっちりした原価が短時間に確定できることの意味はとても大きいと思います。

見積書の一項目一項目にきちっとしたチェック機能が働き、無駄を省いた結果は、年間を通して考えた場合、場合によっては、想像もできなかったほどの利益として跳ね返ってくるものと思われます。


最後までお読みいただきありがとうございます。ご活躍を心よりお祈り申し上げます。