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◇ モデュール別 > 2階建のコスト比較

通常、同仕様の場合建物の規模が大きくなるにつれて、単価は低減していくとよく言われますが、はたしてどのくらい低減してゆくのか興味のあるところです。
同じ間取り、同じ外観、おなじ仕様の木造住宅を、910mm,950mm,1000mmのモデュール(基準寸法)別にそれぞれコスト比較してみた。

◆ 比較のポイントと問題点

比較するについての主なポイントは次のようなことです。

モデルB(2階建-910mmモデュール)を基準に考え、
これを、950mm及び1000mmモデュールにそれぞれ変更したらどのようなコストの動きがあるかをシミュレーションしてみる。

そのためには、階数別や平面形状のところで行ったシミュレーションと同じように、単に、
坪当たりの単価だけではなく、
m3当たりの単価や、
柱一本当たりの単価、
間仕切り長さ1m当たりの単価、
等を算出することにより、モデュール(基準寸法)による違いが、これらの各単価にどのような形で現れてくるかを見ようというわけです。

同様に、単に単価そのものけではなく、実際に、モデュールの違いにより、どの工事項目がどんなコスト的変化を示すのか、これらが比較する上でのポイントとなります。

全体の工事金額合計に対する、各工事項目毎の割合を出してある。参考にしながら読むと、より深くご理解できると思う。

比較する上での問題点もある。
比較基準を厳格に主張すると、モデュールのちがいが起因して発生する新たな考え方や、例えば、材料のロスをどうするかとか、㎡単価の場合は問題はないが、坪単価の場合、通常910mmモデュールの場合1.820m×1.820m=3.3124㎡を1坪として換算するが、1000モデュールの場合の1坪は2.000m×2.000m=4.0㎡だから、㎡数を4.0で除した坪数を基準に考えるべきだという主張がある。
ところが、この見方でいくと、間取りが全く同じであるから,どのタイプも坪数が同じことになり、シミュレーションの趣旨から外れるような気がする。
ここでは、どのタイプも1坪をあくまで3.3124㎡としシミュレーションしてみることにする。

■ 本体工事分析データ①(建物単価)

部材の変動結果とその分析は以下の通りです。 M:モデュール 単位:mm(以下同じ)

関連図面

2階建

項目の用語についてはこちらで解説。

(表の見方)
分析データ①の表中の比率はモデルB(M=910)を100とした場合の比率です。
基本的な考え方として、モデルB(910モデュール)をそれぞれ950及び1000のモデュールに変更しただけのことであるから、積算上の数量は、これらのモデュールに比例した面積で算出されると考えてよい。

比例して計上されない項目は、一式計上分、柱、梁等構造材の殆ど、金属製建具や木製建具のヶ所数及び本数、束石の数量、軒裏換気孔、換気用レジスターやウェザーカバー等である。

ただし、金属製建具(アルミサッシ)と木製建具は面積に比例してはいないが、モデュール毎にそれぞれの単価が違うのでコストの変動はある。

上の表はは910、950、1000のそれぞれのモデュール毎のデータである。

◆ 坪当たり単価・㎡当たり単価・m3当たり単価

910モデュールを100とした時のコスト比は、
950モデュールで約3.3%、
1000モデュールで約7.8%のダウンである。
これはあくまでコスト比であって、実際の施工費は950モデュールで約87万円、1000モデュールで約155万円のコストアップとなる。

ちなみに、比較の問題点のところで述べた、950モデュールの場合の1900×1900を1坪、1000モデュールの場合の2000×2000を1坪とした考え、つまり同じ坪数(56.5坪)でそれぞれの合計金額を除してみると、当然単価的には高くなるが、950タイプは301,635円/坪、1000タイプは322,152円/坪となり、率にして、それぞれ5.3%、12.5%のコストアップになる。

◆ 柱1本当たりの単価

どのタイプも柱の本数は同じであるから、上記と同じ率で、コストアップとなる。(表参照)

◆ 間仕切りの1m当たりの単価

950モデュールタイプで約1%、1000モデュールタイプで約2.5%のコストアップになっている。
これは、通常の面積や体積単価とは違う数値を示しており、面白いデータである。

今回のデータは本体工事のみのデータであるが、これに設備工事費を加算すると、モデュールが長い建物ほど単価的には安くなる。
これは、どんなに面積が増加しても、例えば、浴槽は1ヶ所で良いわけで、浴槽の価格を上げない限り、いわゆる面積に比例しないためである。

モデュールを違えることによる問題点の一つに、材料のロスがある。天井高を高くする時は縦方向のロスが出るが、モデュールが長くなると、横方向のロスが出る。特にボード類はかなりのロスが出ることも予測されるので、それらを含めたシミュレーションを行う必要がある。

■ 本体工事分析データ②(工事項目別見積書)

工事項目別見積とその分析は以下の通りです。

関連図面

2階建

項目の用語についてはこちらで解説。

(表の見方)
割(%)は本体工事合計金額に対する各工事項目ごとの割合を示します。この比率は例えばあらかじめ総工費が決まっている場合に、各工事毎の金額をはじき出すのに便利です。比(%)はモデルB(2階建)を100とした時の対比です。


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