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解体・分析して初めて分かる住宅コストの実像
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◇ 天井高さ 2400 vs 2800 vs 3000


モデルBの建物(天井高2400)の天井高をそれぞれ2800、3000に変更した場合にコストがどう変化するかをみてみよう。
関連する工事項目の仮設、外装、樋、内装、雑工事、それに構造材について比較してみる。

◆ 比較のポイントと問題点

比較するについての主なポイントは次のようなことである。
天井高を高くする時に気を付けなければいけないのは、柱材の件と内装下地材のことである。
柱については後にも触れるが一般市場寸法で間に合うのかどうかの点、内装下地材についても同様であるが、これによる、材料のロスをどう見るかが問題である。

天井高を変えることによりコストがどう変動すかを見るには、関連する工事項目の数量と価格を全て算出タイプ毎に比較することが一番いい方法である。
天井高の違いにより、どの工事項目がどんなコスト的変化を示すかが比較する上でのポイントとなる。

比較する上での問題点もある。
それは先ほど述べた材料のロスのことである。比較基準を厳格に主張すると、ロス率を正確に出して、それをもとに比較すべきであろうと思うが、これにはいろいろな考え方があるので、今回は実数量(ロスを見ない計算上の数量)で比較することにした。

部材や工事項目毎の価格は、それぞれの図面と照らし合わせて見ていくと、これらの問題も良く理解できると思う。

◆ 予想されるコスト変動の要因

天井高が変化する時に変動する工事項目は、仮設工事、外装工事、樋工事、内装工事、雑工事と構造材である。従って、これらの工事項目を構成する各部材が変動するものと思われるので、これらを中心に分析をしてみる。

■ 部材の変動結果とその分析

部材の変動結果とその分析は以下の通りです。

価格の単位:円 比率の単位:%
モデルB(2階建) 天井高2400 天井高2800 天井高3000
工事項目 該当工事 単位 数量 価格 数量 価格 数量 価格
仮設工事 足場架払い損料 328.13 262,504 364.09 291,272 111.0 382.07 305,656 116.4
外装工事 サイディング 244.49 855,715 284.23 994,805 116.3 304.10 1,064,350 124.4
樋工事 たて樋 47.55 57,060 53.55 64,260 112.6 56.55 67,860 118.9
内装工事 壁ビニクロス他(下地共) 476.50 729,274 582.55 890,738 122.1 630.46 961,938 131.9
雑工事 断熱材(外壁) 201.96 46,450 236.36 54,362 117.0 253.56 58,318 125.6
構造材 柱、半柱、間柱 1.00 402,720 1.00 535,520 133.0 1.00 536,030 133.1
合 計 2,353,723 2,830,957 120.3 2,994,152 127.2
表中の比(%)は、天井高さ2400mmを100とした時の比率である。

◆ 仮設工事

外部の足場材の架け面積に当然変化が出る。表を見てみると、天井高2400を100とした時の、2800の天井高のタイプは11%、3000のタイプで16.4%のコストアップである。天井高が2800以上にもなると、実際には内部足場も増加してくるが省略してある。

◆ 外装工事

これについても同じようなことが言えるわけで、外壁面積が増加する分コストアップになる。
同様に、天井高2400タイプを100とした時の比率を見てみると、2800タイプで16.3%、3000タイプで24.4%ものアップである。
これは例題では、サイディングとしたが、タイル貼り等の高額材にすると、率は同じでもコスト的には、かなりの差が出ることが考えられる。

◆ 樋工事

建物の総高さが高くなる分、たて樋の数量が増加して、コストアップする。
2800タイプで12.3%、3000タイプで18.9%のアップである。

◆ 内装工事

変動が顕著に出るのが内装工事である。
2800タイプで22.1%、3000タイプで31.9%もの増加である。
実際には、ビニクロスの下地材(石膏ボード12.5mm)は、定尺の範囲内で納まらないから、かなりのロスがでると思われるので、表のデータからさらに増加すると考えた方が良い。

◆ 雑工事

天井を高くすると断熱材も変動する。
2800タイプで17.0%、3000タイプで25.6%の増加となる。

◆ 構造材

天井高が2800、3000になると、柱、半柱、間柱のいわゆる縦材については、4mものを使用する必要がある。
そのために、構造材の数量が大幅に増加する。
2800と3000の天井高にした場合、2400の天井高のタイプと比較してともに33%の大幅なアップとなる。

建物高さが高くなることは、いわゆる、壁量計算上の見付面積が増加するので、筋違の本数が増える可能性があることも、念頭においておくべきである。

工事項目合計で比較すると、天井高2400を100とした時の天井高2800、3000の上昇率は、それぞれ約20%、27%で、かなりのコストアップになる。

モデルBの本体工事合計金額は1617万円である。従って天井高2800、3000の場合の本体工事合計の価格はそれぞれ102.66%、103.77%のコストアップとなる。


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