◆ 在来工法の耐震設計についての基本的な考え方
在来工法の耐震設計について
先の阪神大震災は、今までの構造基準を覆すような大被害を構造物に与えました。
特に木造の在来工法で建てた住宅の被害の多さが目立ち、主にこれらを手がけている設計者、施工者にとっては、建て主に対する耐震に関する的確な説明対応が求められています。
こうした現状への対策として、プランニングの段階での検討もしくは主な留意事項を下記に記載してみました。参考にして頂ければ幸いです。
建主にこれらのデータを提示、納得してもらうことにより「在来工法は安全なのだ」という深い認識と信頼を得ることが何よりも肝要と思われます。
木造在来工法の耐震チェック項目
1.柱の直下率
建物の柱の総本数のうち、1階と2階の柱が一致している割合(%)
◆通常50%以上が目安です。
2.間仕切り直下率
延べ間仕切り壁長さのうち、1階と2階の間仕切りが一致している割合(%)
◆通常60%以上が目安です。
3.耐力壁の直下率
筋違入り壁の総長さのうち、1階と2階の筋違入り壁が一致している割合(%)
◆通常50%以上が目安です。
4.耐力壁偏心率
建物の中心座標(重心)と耐力壁(筋違入り壁)の中心座標(剛心)から偏心量を求め
その偏心量を建物の間口及び奥行き寸法で除した数値。
筋違をバランス良く入れる為の指標となるもので、耐震設計上、最も重要とされています。
◆通常15%以下が目安です。
上記の計算は、手作業では結構面倒なものです。これらのチェック機能を備えたプログラムソフトはわずか数秒ですべての計算結果を表示してくれます。
備えあれば憂いなしと言います。震災の教訓から耐震設計を第一義に考えざるを得ないようです。
安全な構造の住まい造りが、建築技術者の基本姿勢であり、社会に対する重要な役割であると改めて痛感する次第です。