作家 川北町二 魅惑の世界

◇ あとがき

思うのですが、手紙ってやっぱりいいですね。デジタルな社会が発達して、猫も杓子もその世界を楽しんでいるようでございますが、時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、私にはどうも馴染めません。何か、人の本来のあるべき姿が失われていくのではないか、という危惧を感じているのは私だけでしょうか。あなた様のことを思いながら、一言一句心を込めて書くことの意味を噛み締めています。

◇ 手紙について

「あなた」宛に書いた手紙という媒体を通して、自分の心のままに、世の不思議な世界や、恋や愛あるいは世相をフィクションに思い綴ることで、いつも新鮮な自分になれたらいいと思いますが、

◇ 第1話 共感

短い秋が去り、もう冬の気配がすぐそこにあります。 あなたと初めてお話できたのは、夏の終わりかけの頃でしたね。ヒマワリの花が、日の光をいっぱいに浴びて、風に揺ら揺らとなびいているのが印象的でした。そんなとても眩しい日でした。あなたと初めてお会いしたのは。

◇ 第2話 生きてる心地

残された人生に於いて、どんなにもがいても自分の思いを成し遂げられない多くの人々と同じように、そうは思いたくなくても、私もその一人かもしれない訳です。 でも、何かの弾みで、たとえ短い時間であろうと、幸せな自分が居ることを感じた時、生きてる心地良さをも感じるものです。あなたは私をして、そんな感じにさせてくれました。

◇ 第3話 躊躇という理性

あなたのやさしさや気遣いやしぐさが、時に私を苦しめる時があります。多分それは、未だあなたの気持ちを共有できてないからだと思います。あなたを深く理解したいと思う気持ちと裏腹に、ぎりぎりのところで抑制された自分のあなたに対する思いが、もしも解き放たれたときの怖さを思うときに、躊躇という理性によって、やっとの思いで踏みとどまっている自分がいます。

◇ しなやかな人生を

ここのところのしぐれ模様の天気も、今日は一転雲一つない快晴となりました。車の窓を開けると、やや冷たく感ずる風が顔にあたり、少しは暦通りになったかなと思わせる今朝の通勤途上でした。 不景気のためでしょうか、いつもの年のような師走の慌しさが、どことなく感ぜられず寂しい気もします。

◇ 人の美について

随分とご無沙汰のような気がします。お元気ですか? 今日は人の美についてウンチクを述べてみたいと思います。例の如くご意見をお待ちしています。 人間は美しいものに感動し、憧れ、できれば手に入れたいと思っています。では「美」とはいったい何なのでしょうか?この点について私の独断と偏見で考えてみたいと思います。(笑)ですが、「美」そのものについて語るには、テーマが大きすぎますので、ここでは、話を分かりやすくするために「人の美」に絞って考えてみたいと思います。他の美については別な機会に譲ることにします。

◇ 悩める年代

若い情熱のもたらした結婚という名の男と女の人生の中で、いつしか子供が生まれ、必然的に育児に追われてしまうようになります。子供が大きくなるにつれて、自分の社会的な任務も重たくなってくるようになります。ただひたすらに仕事をし、企業の単なる歯車になる事に疑念を持ちながらも、青春から壮春へと時に流されていきます。

◇ 理解に苦しむ出来事

あなたもご存じなように、私の会社は3階建てのビルの2階にあります。テナントとして入居しています。2階、3階に上る外階段の登り口のところに、狭い駐車場があり、そこにいつも私の愛車が置いてあります。 ある日のことです。いつものように仕事をしていましたら、何やら工事をする音が聞こえてきました。
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