何処からともなく聞こえてくる、囁くような声をあなたに!

ある老婦人の物語

◇ 誘惑

先日、仕事場近くの角の家で、一人のおばさんが一生懸命花の手入れをしたり、水をやっていました。私は思わず、デジカメ片手に、「おばさん精が出ますね。綺麗な花が一杯ありますね」と声を掛けました。そしたら、そのおばさんは、にっこり笑って嬉しそうな顔をしました。私が、「このお花の写真撮ってもいいですか?」と聞いたら、とても喜んでくれました。

◇ 折り畳んで来た悲しみ

しばし縁に腰掛けて、その老婦人の身の上話を聞かされました。とても身につまされる話でした。今日までお嫁にも行かず、独身を貫いてきたそうです。一人の女として80歳になるまでの、数々の苦労話を涙ながらに語ってくれました。私も思わずもらい泣きするところでした。

◇ 女一人

幾つもの山を乗り越えて幾つもの川を流されてとうとうここまで来てしまった夜の侘しさ 朝の虚しさ幾度となく巡り巡って日々が去りひとときの 心の安らぎ求めんと涙の数だけ 織りたたんだきた紙細工
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