
◇ 子供の成長
そのことは、思うようにならない自分の身体との闘いを強いられながら、生きて行く道を探る旅立ちの第一歩を意味していた。作者は、思い切って現役からリタイヤし、以前から好きだった物書きの世界に足を踏み入れたのである。
しかし、好きというだけで、この世界で自分が満足する生き方が出来る、とてもそんな生易しいものではない、ということを十分理解していた。その上、この未知の世界で、生計を立てられるほどの力量には全くと言って良いほど自信はなかったが、まぁ、食うことは何とかなるだろうくらいの持前の楽天的な考えが、人生の舵を大きく切った原動力になっていることは確かである。しかしながら、楽天的と言えばそれまでだが、実にいい加減な考え方である。
ご紹介する「手紙」は、「あなた」という人に宛てた手紙の中で、作家川北町二の世界を表現しようという試みの作品です。「奇なりな記」もありますが、必ずしもそれにこだわらない作品も掲載しております。ご了解ください。