作家 川北町二 魅惑の世界

◇ 誘惑

(ある老婦人の物語)

先日はお便りありがとうございました。嬉しく拝見いたしました。お元気そうで何よりです。さて今日お便りしましたのは、少しばかり身につまされることがありましたので、それをお話ししたくてペンをとりました。

先日、仕事場近くの角の家で、一人のおばさんが一生懸命花の手入れをしたり、水をやっていました。私は思わず、デジカメ片手に、
花「おばさん精が出ますね。綺麗な花が一杯ありますね」
と声を掛けました。そしたら、そのおばさんは、にっこり笑って嬉しそうな顔をしました。私が、
「このお花の写真撮ってもいいですか?」
と聞いたら、とても喜んでくれました。
「この花なんてどう?この花の名前はね……」
と庭中の花を丁寧に案内してくれました。お花好きのおばさんらしく、それはそれは庭中一杯の花が咲いていました。私は花の名前については疎いほうですので、ただただ頷くばかりでした。
おばさんは、途中私の方に振り向きざま、
「花の写真ばかり撮らないで私も撮って!」
と真っ赤な顔をして言いました。

私はその後、そのおばさんに家の中に誘惑(?)されてしまいました。そして、びっくり仰天の世界を見ました。

恐る恐る歳を聞いて返ってきた返事によると、おばさんの年齢は80歳ということでした。とてもそんな歳には見えませんでした。世の中には、こんな人もいるんだと、なんだか……。

その後どうなったのでしょう。(笑)
この続きは、またの機会にします。お楽しみに!

初夏に咲く 花の命の 哀れさを そっと隠して 誰に伝えん

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