作家 川北町二 魅惑の世界

◇ 手紙について

(天使の翼をあなたに)

 文明の利器が、日常の生活を一新させました。たとえば、文字も絵も全てデジタルソフトによってパソコンなどで表現できるようになりました。誰でもが手軽に簡単に自分の意思を表現できるようになりました。しかも、猛烈なスピードで相互の意思の伝達ができるようになり、リアルタイムなコミュニケーションを実現してくれました。そのことは、とても素晴らしいことだと思います。

 でも、私には、それが為に、何か大事なものを置き忘れて来たのではないかと思われてなりません。じっくりとした思考回路を省略したコミュニケーションは、時に、人の持つほんとの心が、ほんとの良さが、もしかしたら軽く受けとめられはしないかという、一種の危惧を感じているのは私だけでしょうか。

 昔ながらの「手紙」という形態と伝達法は、今まさに忘れ去られようとしている人としての本来の心を、取り戻してくれそうな気がしてなりません。とは言っても、デジ活字という表現に矛盾を感じながら……。(笑)

 そんなことを言っておきながら、実際には手書きの手紙は、宛てる相手がいないということもあったりして、随分久しく書いていません。ですから尚更拘ってしまいたかったのかも知れません。

「あなた」宛に書いた手紙という媒体を通して、自分の心のままに、世の不思議な世界や、恋や愛あるいは世相をフィクションに思い綴ることで、いつも新鮮な自分になれたらいいと思いますが、いかんせん、どうも私の筆力の無さが……。読むに耐えがたいかもしれませんが……。ご愛読いただければ嬉しく思います。


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