「そうね、家では殆ど聞かないわね。聞いても車の中くらいかな」
「地震なんかの、大きな災害に遭遇した時はどうしてるの?」
地震等の災害時にパニックにならない為に
「私は大きな災害に遭遇した経験がないから、答えられない」
「お、そうか、じゃあ、想像でいいから、どう思う?」
「大きな災害時でのラジオ?それは絶対あった方が良いと思うけど」
「どうしてそう思うの?」
「そう言われても、すぐには答えれないわね」
「ラジオじゃなくて、スマホで情報を見る?」
「そそ、そうなると思う」
「だけどスマホやガラケーは、大きな災害時は、通信不能になる場合が多い」
「あ、いつもそうだわね、テレビなどで話題になるわね」
「となると?情報が耳に入らない。余震が続く。とても不安になると思うけど」
「うんうん、そういう事になると思う。とても怖い思いをする事になるわね」
「人間て意外と弱いところがあって、そういう場合大概の人はパニックになって」
「精神状態が尋常じゃなくなる。恐怖心で……」
「そこに音の出るラジオがあれば、少しは安心する」
「なるほど、そうだわね」
「持ち運びできる小型のラジオを、準備しておいた方が良いと思うよ」
「災害は忘れた頃にやってくると言うけど、最近はそうでもない感じだから」
「そうなんだよなあ、もう日常の出来事と思っていた方が良さそうだね」
「ほんとね、地震は予測不能だし、台風、豪雨、豪雪は今や日常よね」
「自分や家族などの身を守る為の知識と、遭遇した時の為の準備をしておく事が」
「とっても重要な時代になってきたって事ね。ラジオもその一つって事よね」
「デジタル機器の時代になって『ラジオなんて不要だ』なんて言う人もいるけど」
「実はそういう時に一番安定した情報を流してくれるのが、ラジオだって事だわね」
「インフラ的に一番安定してるから、災害時に強いんじゃないかなと思う」
「なるほど、そうかも」
「それ以外にも、とても大事な事があるよ」
「例えば?」
「実際に巨大地震などに遭遇すると、まず誰でも慌ててしまってパニックになる」
「うん、さっきも聞いたわよ」
「そういう時、何をどうしたら良いか分らないから、パニックになるんだよな」
「うんうん、確かにそうよね。精神不安定の極致ってとこよね」
「そんな災害時に慌てない為の心構え知ってる?……知らないでしょ?」
「知らな~い。でも、知っておく必要があるわね。死にたくないもの」
「そうだよ、君が死んでしまったら、俺は生きていけない!」
「フフ、口から出まかせでしょ?」
「いや、本気だよ。いつも思ってる事だよ」
「……本気にするわよ。いいの?」
「うん、君だけは死んで欲しくない」
「君だけはって、他の人は死んでも良いの?」
「バカだなあ、な訳ないでしょ?」
「その真剣な顔、初めて見たわ。でも、とっても嬉しい。ありがとう!」
「でさあ、災害時に慌てない為の、心構えみたいな事知りたくない?」
「知りたい!」
「偶然ネットで調べていたら、あったんだよ。実によくまとめてある記事が」
「そうなんだ、そのアドレス教えて、知識として持っておきたい」
「うん。これをクリックして」
「ありがとう!後でじっくり見ておく」
「ついでに、見ておいた方が良い記事もあるよ」
「どんなの?」
「地震災害にあったことのない人は、特に知っておいた方が良いと思う」
「体験談?」
「そう『語り部』ってやつだね。生々しい赤裸々な体験談が一杯書いてある」
「はい、分りました。それも見ておきます。そのアドレスは?」
「うん。これをクリックして」
「ありがとう!それにしても、あなたって、とっても良く勉強してるのね」
「全てはあなたの為です」
「最上級の褒め言葉ね。泣けてきそう」
「泣くのはまだ早い!ここでアドバイス」
「ん?」
「そんな貴重な記事は、印刷していつでも見える所に張り付けておく事が大事」
「あ、そうよね。ネットで見るだけでは、忘却の彼方になってしまうのよね」
ラジオの効用って考えた事ありますか?
「本論から横道にそれてしまったけど、質問があるんだけど」
「あら、さっきのあなたの言葉の余韻に、暫く浸りたいんだけど」
「あはは、今日は忙しいんだから、そんな時間ないよ」
「えっ、忙しいって、これから何か予定あるの?」
「そうなんだよ、急に行かなければならない所があるんだ」
「そうなの?後でお茶したかったのに」
「うん、ゴメン、又にしよう」
「はい、で、質問って?」
「実はここからが肝心要の事なんだけど」
「うん」
「君はラジオの効用って言うか、どんな所に役立っているか考えた事は?」
「さっきの災害時以外で、という意味でしょ?」
「そう」
「考えた事はまったくありません。何かあるんですか?……ありそうな顔してる」
「やっぱりな。ま、普通はそうだよな。でも、驚くべき効用があるんだよ」
「またまた始まりそうな予感。一流の屁理屈が」
「あ、聞きたく無いという顔だな。じゃ、今日は止めとくかな、忙しいし」
「ほんと?そうしましょう。次回にという事で。……でも、……驚くべき効用」
「気になってるみたいだね?」
「少しね。それに次回って何時になるか分らないし」
「じゃ、さわりだけやろうか」
「さわりだけ?」
「例えば、ラジオでこんな事を言っています。イメージして下さい」
「ラジオ放送?ドラマか何か?」
「『綺麗な港ねえ~、カモメが一杯いる』……さあ、どんなイメージしますか?」
「ちょっと待って!急に言われても、感性ゼロの私だから。……今考えるから」
「ハイハイ、ごゆっくりどうぞ」
「出来た!……でも、あまりパッとしないかも」
「ま、言ってみて!」
「地平線の向こうに山があって、快晴で、カモメが空を悠々と飛んでいる」
「なるほど、別なイメージ浮かぶ?」
「たくさんの漁船が連なっていて、さざ波にゆらゆら揺れている」
「他には?」
「堤防では釣り人が糸を垂れてる。あ、何か釣れたみたい。小魚だ!」
「なかなか詩的な才能もあるみたいだね」
「たった短い描写なのに、多くのイメージが次々と膨らんでくる」
「これが即ち、テレビなどには無い、ラジオ特有の効用なのであります」
「……」
「つまり耳から聞こえるセリフとか言葉、音、鳴き声などを、脳が勝手に想像する」
「その想像は人によって違う?頭の中でイメージする描写が異なる?」
「そういう事です。この事がどう意味があるのか、深掘りしたいけど」
「ん?」
「今日はこの辺で止めときましょう」
「えっ、止めるの?どうして?」
「君は今、聞く耳を持ち合わせていないと、私の脳が勝手ながら判断しました」
「まあ、勝手すぎる。脳に栄養が行き届いてないわよっ」
「次回に耳よりな話をすることにしましょう」
「次回って何時なの?」
「さ~て、何時になるか定かではありません」
「まあ、聞きたかったのに」
「最後に、これだけは言っておきたいと思います」
「ん?ナレーション?」
「実はラジオの持つ、計り知れない効用については、意外と注目されていません」
「……」
「その効用を上手に活用することで、人生に劇的な変化をもたらすかも知れません」
「……」
「とても興味あるテーマですので、機会を見て深掘りしたいと思っています」
「な~んだ、結局そういう事か、つまらない」
「……ではでは」