◇ 第3話 山の女神 そんなある日のことです。 いつものように私は、窓側の席に座り、いつもの珈琲を注文し、ぼんやりと窓の外を眺めていました。 この日は、朝からの真っ青な空に小さな白い雲がぽっかり浮かんでいました。遠いその雲の下に、いつものように、見慣れている山の姿が窓から見えました。その山を見る私の目は、焦点がぼけ、意識のはるか彼方にありました。 天使の翼をあなたに