◇ 待ちわびた春
待ちわびた春ほら名残雪の間から小さな花が芽を出してもうまぶしい空に向かってる果てしなく広がる夢乗せて
◇ 悲しき雨音
今日もしとしと雨が降る濡れる街 濡れる心いつだったか忘れたが ちょうどこんな日だったずぶ濡れになり 小走りに通りすぎる女一人荒れる吐息 髪が乱れ 雫が顔を洗い流すやっと見つけた小さな庇に駈け寄ってただ空を見上げる
◇ 雨の城
雨に煙る山々 霧に沈む街濡れた橋 川面に浮かぶ街灯かり指差す彼方に遠く霞んで見える あれが高速 あれが鉄橋戦国の世のつわものどもの夢の跡
◇ 北風
コートの襟を立て 北風に向かって歩く顔面に刺す風の冷たさになぜか久々に感ずる 躍動の魂身体中がほてる 眼が熱く燃える雑踏のビルの谷間に浮かぶ淡いともしび熱いコーヒーをすすり 談笑にふけるカップル
◇ 風に乗る
風よ 君は何処から来たの?そよそよと ここちいいねそうだ! 君の背中に乗せてくれないかい?そして 僕と旅をしないかい?いままで暮らしたことのある街やお世話になった人を訪ねてみたいんだ