季節の中で(4)
-悲しき雨音-
今日もしとしと雨が降る
濡れる街 濡れる心
濡れる街 濡れる心
いつだったか忘れたが ちょうどこんな日だった
ずぶ濡れになり 小走りに通りすぎる女一人
荒れる吐息 髪が乱れ 雫が顔を洗い流す
やっと見つけた小さな庇に駈け寄って
ただ空を見上げる
濡れた髪を拭こうともせず ただじっと空を見上げる
今にも泣き出しそうな美しくも悲しい横顔
今日もしとしと雨が降る
濡れる街 濡れる心
女一人 夕暮れの街にたたずむ
時が奏でる 悲しみの雨音
着メロの音がする パッと顔面に花が咲く
バッグからすばやく取り出す携帯電話
だが 女の顔が左右に激しく揺れる
ときめきが雨に沈む
あんなに綺麗に着飾ったのに
あんなに入念にお化粧したのに
ああ ただ傘を忘れただけなのに
今日もしとしと雨が降る
濡れる街 ずぶ濡れの心