長いようで短い人生。心に響く感動と共に生きれたら……。

◇ 【ポエム】雨の城

季節の中で(3)
-雨の城-
雨に煙る山々 霧に沈む街
濡れた橋 川面に浮かぶ街灯かり
指差す彼方に遠く霞んで見える あれが高速 あれが鉄橋
戦国の世のつわものどもの夢の跡
世の移り変わりは幾年月の歳月を経て
今に伝えし息吹きは 雨か涙か霞みか雲か
聞こえる叫び 砕ける岩山 はじける水玉 
あの坂道を息を殺して ただひたすら登る
勇壮ないでたちが眼前で舞う
命請うなら戦は負けと 魂残さば誰か泣く
世の神々のはかなき願い
砕けて朽ちる鮮烈の血潮
通ずるものなら今一度 手と手を合わせて 安らぎを請う
勇者よ喜べ 勇者よ見るがいい
眼下にたたずむ街並みも そこにある木々たちも
季節と共に咲き誇る花たちも ほらあの小さなリスでさえ
いやいやここに立ちたる我等でさえも
生きとし生けるもの達の 歓喜に満ちた面々が
怒涛の如く突き進み 脱兎のごとく過ぎ去りし
歴史という名の 積み上げし石垣の上にあり

はらはらと落ちる涙にも似て 古城の雨は降り止まぬ