長いようで短い人生 心に響く感動と共に生きれたら……
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◇ 特効薬の処方箋

エッセイ(20)
-特効薬の処方箋-
タバコを止めて、かれこれ7年が経過しました。
タバコをひと時も離さず持ち歩いていたヘビースモーカーに、
禁煙を決心をさせたのは手術後のドクターの一言でした。
「ほかでもないあなたの命ですからね。
他人がどうのこうの言ったところで、聞く耳はないかもしれませんが、
心地よい未来を得たいのなら、ここらで良く考えたほうがいいですよ」

食後の、あの何とも言えない一服感は、今でも忘れられませんが……
不思議と、もう吸う気には全くなりません。
人が吸っている姿を見ることがあります。そんな時、
命の欠片が、少しずつ煙のように消えていくことを思うと、
他人事ながら、止めたらいいのにと思うことしきりです。

ドクターの言う、
心地よい今日を過ごしているとは思えませんが、
ご飯を美味しくいただけているのは確かです。
毎日が健康そのものであることも確かです。
周囲を気にする窮屈さや、
火事のことを心配することもなくなりました。

「ふん、タバコを止めるくらいなら、死んだ方がましだよ」
なんて、遠い昔、自分も言っていたセリフが聞こえてきそうですが、
「悪いことは言いません。
高い税金をせっせと払い、
尊い命を切り刻んでまでたしなむ価値はないと思うのですが」
と言えるほどになりました。

アドバイスという特効薬を処方してくれたドクター、お元気ですか?
あなたにはとても感謝しています。
……ありがとう。