長いようで短い人生 心に響く感動と共に生きれたら……
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◇ 女一人

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人生流転(7)

-女一人-
幾つもの山を乗り越えて
幾つもの川に流されて
とうとうここまで来てしまった
夜の侘しさ 朝の虚しさ
幾度となく巡り巡って日々が去り
ひとときの 心の安らぎ求めんと
涙の数だけ 織りたたんだきた紙細工
だが もう流す涙も 枯れ果てて
カチカチとなる 柱時計の針を追う

幾つもの谷に遭遇し
幾つものトンネルを潜り抜け
とうとうここまで来てしまった
老うる悲しさも 途切れる気力も
幾度となく振り切って来たけれど
ひとときの 心の安らぎ求めんと
涙の数だけ 織りたたんだきた紙細工
だが もう流す涙も 枯れ果てて
カチカチとなる 柱時計の針を追う

女一人
巡り会う人も 触れ合う人も 叶わぬうちに
この世の幕を閉ざすのか
生を授かりしより 幾年月
よくぞ耐えた よくぞ生きてきた
我が不運を嘆くまい 我が人生を嘆くまい

錆びたチェーンの天井灯 女のしわに影映す
古びた畳に 頬摺り寄せて
 
鏡に向かって だけどすすり泣く
ああ 女が一人 残り火にもがく

カチカチとなる 柱時計の針を止め
再び生まれ変われるものならば
不幸と言う名を砂に埋め
満面の笑顔 天に舞おう
女の喜び 宙に舞おう
されど ああ 無情の時空

柱時計のカチカチと鳴る