日々是好日(8)
-雨の歩道-
夜雨に濡れた歩道
人ごみの中に一人たたずむ婦人
ショーウインドウの前に立ち
じっと見つめるその顔は
憧れの衝動なのか
それとも諦めのため息か
人ごみの中に一人たたずむ婦人
ショーウインドウの前に立ち
じっと見つめるその顔は
憧れの衝動なのか
それとも諦めのため息か
思い描いたものを手にする喜びを
人知れず味わいたい
誰にもわからずに
自分だけの秘密の喜び
夜に染まった灯かりに照らされた
歩道に落ちる雨にも似て
キラキラと輝く自分だけの小さな秘密
ふと目をそらした時に
婦人の姿が消えた
夜雨に濡れた歩道に
残された足跡……あなたはいずこへ