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[6-1]施工力について


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ステップ【6】留意事項(知って得する現場チェックの知識)

[6-1]施工力について

施工力って何でしょうか?
家づくりの基本は良い設計と精度の高い施工です。

ここでは施工について掘り下げて考えて見ます。

実際に仕事する人

例えば、
現場工務店が請負った家は実際には誰が家を建てていくかご存知ですか?
「馬鹿な質問するんじゃないよ」
と言う声が聞こえてきそうですが、意外とこのことをご存知じゃない方が多いんです。
「そんなの工務店が家を建てるに決まってるだろう」

これは正解のようで正解ではありません。
当然、建物を請けた工務店は、請負責任というものは付いて回りますが、私がここで言う
「じゃ、誰が実際に家を建てるのですか?」
と言う意味とは若干ニュアンスが違います。

ご存知とは思いますが、
家を建てるには多くの仕事師、つまり職人さん達の協力がないと出来ません。


基礎工事を工務店の社員自らがするところも無いわけではありませんが、大抵は基礎工事を専門職としている職人さん達にその仕事を委ねています。
同じように、大工さんや屋根屋さん外壁工事屋さん等々、およそ28業種の専門職種の方々の協力のもとに家が造られていきます。


ここで問題なのが一つ一つの職種の施工能力です。

人は見かけによらないとよく言いますが、
顔を見ただけではその人の能力が分からないと同じように、
例えば、
どの基礎工事屋さんが優秀で良い仕事(施工)をするかなんて事は、およそ分からないものです。

基礎工事仕事をしてもらってから、ああ、この職人さんはいい仕事をする人だ。なんて事が分るわけです。また別な見方をすると、この職人さんは仕事はまあまあだけど、安くしてくれるから助かるなあ。なんてこともあります。

さらに別な見方をしますと、
そもそも施工の基準といいますか、施工レベルとでもいいますか、いわゆる施工精度をどのレベルにおいているか、一概に推し量ることは出来ませんが、私の言う「施工力」の概念とは程遠い気がするわけです。

じゃ私の言う「施工力」とは一体どういうものなのでしょうか?

施工力が高いか低いかで家の価値が違ってくる

大失敗先日ある工務店の社長とこんな会話を交わしたことがあります。
「基礎工事を職人にして貰ったんだが困ったことが起きてしまった。」
とその社長は沈痛な顔をして言うんです。
「どうしたんですか?図面と違ったとか?」
と、私が尋ねたんですが、
「そんなことならまだいいよ。」
「とんでもない事をしてくれたんだよなあ。ああ 困った困った……。」

さて、基礎工事職人がしでかしたことで、
この社長が困ったことって何だと思いますか?

少し考えてみてください。

私は、またおもむろに尋ねました。
「レベルを間違えたとか?」
「そんなんじゃないんだよなあ。……ったくもう人に言うのも恥ずかしいよ。」
私は皆目想像がつきませんでした。社長は重い口調でこう言いました。
「実は基礎が完成して数日後現場を見に行ったら、驚くなかれアンカーボルトが無いんだよね。」
その言葉を聞いて私は思わず、
「ええっ!? ……嘘でしょう!……そんな馬鹿な!」
と叫んでしまいました。この話は実話です。

アンカーボルトの無い基礎なんて、ただのコンクリートの塊にすぎません。

その後この話がどうなったかは想像にお任せします。
何が原因で、誰の責任かなんていうレベルの話じゃないですよね。

施工力とはこういうことなのです。

私に言わしたら、これって最悪の施工力ですね。
うっかりミスでは決してすまされない施工が、実際に行われたわけです。しかも基礎工事ばかりを専門にしている職人がです。到底考えられない、それこそ大事件です。

ところが、
ほんとの話をしますと、にわかには信じられないことですが、こういう類の似たような話は良く耳にするんですよ。

ここで本論に戻します。

施工力、
つまり高い精度と理に叶った施工をする能力は、一体どうしたら発揮出来るのでしょうか?

私は次のように考えています。

高い精度と理に叶った施工をする能力を発揮するには

  • 施工図面が完備しているか。
    図面は単なる添付書類ではありません。
    図面を見て技術的判断が出来る、いわば施工マニュアルでもあり施工司令塔です。職人さんが理解し易いような図示の仕方をするべきです。
    施工図面についてはこちらをご覧下さい。
  • いわゆる腕の良い職人さんを常に確保しておく。
    腕の良い職人とは、図面の理解力に優れ、図面に基づいた忠実な施工が出来る職人のことを言います。建設的な意見や、家づくりに対する前向きな姿勢がある職人であること。お金のことばかりを主張する職人は敬遠するべきです。
  • 施工管理に優れた現場担当者による管理をすること。
    現場は常に生きていて動いています。臨機応変な対応と高い技術力が要求されます。

    • 職人とのコミュニケーションに優れ、職人の技術力を最大に引き出す能力を持っていること。
    • 工程管理や資材の手配について先を見る能力があること。
    • お客様の視点から家づくりを考えることの出来る管理者であること。

この他にもいろいろありますが、概ねこの程度のことは最低限必要なことです。

高い施工力で出来た家とそうでない家は、後々いろいろな意味で大きな差が出てきます。
しかし、
どの工務店が高い施工力を保有してるかなんて事は分かりませんよね。
困ったことですが、こればっかりは事前に分かりにくいことだけに、ほんとに困ったことです。


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