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[7-2]図面について(図面の種類と目的)

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ステップ【7】後悔しない為に(契約行為が全てを決定づける)

[7-2]図面について(図面の種類と目的)

家造りに於ける図面の持つ意味については、もはや申し述べる事ではないと思います。
図面は建主の絶対的な代弁者です。
思い通りの良い家を造りたいのなら、図面をないがしろにしないことです。

着工してからの図面変更は思わぬコストが掛る事を念頭に入れておいてください。
そうならないように契約する前に徹底的に検討しておく必要があります。

◆ 契約書の中身をしっかり把握しましょう
● 契約書の中身(最低限必要な書類)
・工事請負契約書
・実施図面(契約図面)
・見積書(工事費内訳明細書付き)

契約とは、
工事に関する内容についての、双方(この場合は建主と施工業者)の遵守事項(約束事)を確認するものです。早い話が、
どのような家を、
いつまでに完成させて、
いつの時点で、いくらの工事金を施工業者に支払うか
を文書で約束するものと思って下さい。

参照して欲しい記事 ⇒ [7-1]契約について(契約締結の意味する事)
参照して欲しい記事 ⇒ [7-3]見積書について(坪いくらの世界からの脱却)

ここでは図面の種類と目的について詳しく記述していきます。


契約書に添付されている図面と照らし合わせてみることを強くお勧めします。
もし図面に不足がある場合は契約を延期するなりして対処しましょう。
また図面の検討に自信がない場合は、お金を払ってでも然るべき人にお願いしましょう。

図面の持つ意味は、こういう事を書かなければならないほど極めて重要な事なのです。


◆ 施工(実施)図面をしっかり把握しましょう

施工(実施)図面とは
設計図面施工(実施)図面は、読んで字の如く、大工さん達が実際に家を建てる為に作られた、言わば実施マニュアルみたいなもので、各部材の大きさ(平面的な形状・立面的な形状等)や形が、細かく記載されています。
この図面がいい加減ですと、いい加減な家になります。

具体的には、次のような図面です。
併せて各図面に対する簡単な注意事項やチェックしておきたい事について述べます。

▼ 特記仕様書・意匠図面・構造図面・設備図面・各種詳細図等

契約書に添付される図面の中には次のようなものがあります。
図面はそれぞれ拡大してご覧になれます。(枠内の図面名にマウスを乗せて下さい)

◇ 特記仕様書(建物内外部仕様概要)

特記仕様書(建物内外部仕様概要)

家の内外の仕上表として表示する場合もあります。建主の名前・建築場所・各階の床面積の他に、各部位例えば、外壁とかリビングルームの壁とか天井とか床とかを、どんな仕上げにするかということが記載されています。

そればかりではありません。
例えば雨樋のメーカーはどこで、直径は何mmだとか、柱の大きさ(断面寸法)は何mmだとか、トイレに手摺が付くのかどうかとか、バリアフリーになっているのか等が表示されます。そんなことも記載されています。
図面では表示しきれない部分が細かく記載されたものと思ってください。
尚、住宅金融公庫融資工事の場合は、
公庫基準の工事仕様書に従って工事をしなければなりませんのでその旨の記載が必要です。確認しておく必要があります。

◇ 付近見取図・配置図・求積図

付近見取図
工事現場は何処なのかを表示するための現場付近の地図です。
材料搬入等の場合この地図が役立ちます。
◆配置図
敷地に対して、家をどの位置に配置して建てるかを表した図面です。敷地に高低差がある場合には、敷地断面図も表示します。道路の巾とか方位とかも表示されます。ガレージの位置や外構計画ににも使われます。
1/100精度の図面で充分です。
◆求積図
敷地面積の根拠を明らかにする為の図面です。
ご存知かもしれませんが、建蔽率や容積率は敷地面積に対して行われます。ですから、敷地面積計算は大変重要な計算となります。
1/100~1/200精度の図面で充分です。

◇ 平面図・立面図・外観パース図

◆平面図

家の間取りを水平に切断したものを、真上から見たものです。筋違(耐力壁)の取り付け位置も表示されます。
また、クーラーや絵画や吊戸棚等壁に取り付ける機器類によっては、ビスの効きを良くする為に、合板等で補強をしておくことを、お奨めします。
カーテンレールの取り付くところも同様です。それらの表示を平面図にしておく必要があります。
さらに、押入等に枕棚(お分かりですかな?)を取りつけてもらう場合も、記載してもらってください。

尚、細かい話ですが、後でとても不便を感ずることに、
電気のスイッチの取り付く場所の問題があります。ドアの開き勝手等には充分気をつけて下さい。
出来れば1/50精度の図面が、細部が良く分かりますので、お奨めです。

◆立面図
家の姿図です。東西南北のそれぞれから見た(4面)姿図が一般的です。
これは、1/100精度で充分です。
◆外観パース図
家を立体的に表示したものです。一面だけでなく多方向からのパース図があると全体像が分りますのでもっと良いですね。
立面図では掴みにくい家のイメージがしっかり把握できます。

構造図面の中には次のようなものがあります。

◇ 基礎伏図・床伏図・小屋伏図

◆基礎伏図
基礎の配置・形状等を平面的に表示した図面です。
束石の配列・アンカーボルトの位置・基礎の断面や配筋(鉄筋をどのように配置するかを表示した図面)も併せて表示します。
1/50精度の図面がお奨めです。
◆床伏図
各階の床組を、平面的に表示した図面です。土台・大引・根太・火打梁・桁・胴差・梁等が表示されます。プレカット工場ではこの図面を元に、入力され加工されます。構造上最も重要な図面です。
出来れば1/50精度の図面が細部が良く分かりますのでお勧めです。
ところで、上の部材(土台・大引・根太……)の意味が分かりますか?
◆小屋伏図
屋根を支える為の小屋組を平面的に表示した図面です。
母屋・小屋束・火打梁・棟木・隅木・谷木等が表示されています。床伏図と同様プレカット工場ではこの図面を元に入力され加工されます。
これも出来れば1/50精度の図面が細部が良く分かりますのでお奨めです。
ところで、上の部材(母屋・小屋束……)の意味が分かりますか?

建物の断面詳細等には次のようなものがあります。

◇ 断面図・矩計図

◆断面図
家を、東西(X方向)及び南北(Y方向)に切断した図面です。概略の建物断面が把握できます。
1/100精度の図面で充分です。
◆矩計図
家を縦方向に切断した図面です。各部材の取り合いや、仕上げや天井高さなど、細かい寸法が表示されています。公庫申請の場合は必ず添付しなければならない、とても重要な図面です。
これは、通常1/30~1/20精度で表示します。

設備図面の中には次のようなものがあります。

◇ 電気設備図・給排水衛生給湯設備図

◆電気設備図
電灯やコンセント、スイッチ等の配線の他に、テレビや電話、冷蔵庫やレンジ、給湯器やエアコン等、電気を必要とする機器の設置場所に従って、どのように配線するかを表示した図面です。
エアコンは都合で将来付けるという場合もあります。そのような場合は、取り付けるであろう個所に補強はもちろん、配線だけはしておくことを強くお奨めします。そうでないと、実際に取り付ける際に思わぬ費用が掛かる場合があります。

また分電盤の取り付け位置や回路数なども表示されます。
さらに最近ではパソコンの設置が多くなってきました。1階に1台、二階に1台という事もあります。これらも、あらかじめ配線だけでもしておきますと、とても便利です。
尚、平面図のところでも述べましたが、電気のスイッチの取り付く場所の問題があります。
ドアの開き勝手等には充分気をつけて下さい。
さらに、いざ寝室に入ろうとする時に、
スイッチの位置が寝室から遠い為に、暗い廊下を手探りして、寝室まで歩かなければならないなんて、笑えない話もあります。
この場合は3路スイッチという便利なものがありますので、これを採用してください。
また、トイレの電気の消し忘れを気づかせるようなスイッチもあります。検討してみて下さい。

図面には、
上記のほかに24時間換気システムの系統図等が表示されます。

1/50精度の図面がお奨めです。

◆給排水衛生給湯設備図
システムキッチンや便器や洗面台やユニットバス、給湯器等に、水やお湯やガスを供給、及び排出する為の配管図です。
注意する点は、特に2階にトイレや洗面所やユニットバス等がある場合には、1階の天井裏の懐が低く、排水管の太さや勾配によっては、無理な施工を余儀なくされる場合があります。
これが元で、排水管が詰ったりすることも考えられます。出来れば、木造と言えども、パイプシャフト(PS)と言われる管の通るスペースを設けたいものです。
尚、ガスには、ガス質なるものがあります。
各機器がそのガス質に合った機器かどうかも、チェックしておきましょう。
また、配管された後、大工さんが壁などのボード類に釘を打つ際、誤って、管に釘を打ってしまって、水漏れを起こす場合があります。くれぐれも注意するようにしたいものです。

図面には、
給水・排水・給湯の各配管のほかにガス配管の系統図も表示されます。

出来れば1/50精度の図面が細部が良く分かりますのでお勧めです。

耐震上重要な指標となる図面には次のようなものがあります。

◇ 耐力壁計算表・重心剛心位置図

◆耐力壁計算表
台風等の風の力(風圧力)や例えば、雪や瓦などの上から家に加わる力(鉛直荷重)などに対して、安全かどうかを数値で表した図面です。軸組計算表と言う場合もあります。
筋違や合板等の耐力壁がこれらの荷重に対応する訳ですが、その量が充分かどうかの判定をする、とても大事な図面です。意外とないがしろにされているようですが、とんでもないことです。この計算がなされていない家は、まず危ないと疑っていいと思います。
1/100精度の図面で充分です。
◆重心剛心位置図
この図面は、筋違や合板等の耐力壁が、バランス良く配置されているかどうかをチェックする為の図面です。
地震が起きた時、建物が破壊されないようにする為には、耐力壁(筋違や合板)を、いかにバランス良く配置するかに掛かってきます。
その意味でこのチェックのことを、耐震チェックとか耐震設計とか言われています。
上の耐力壁の計算をクリアしたとしても、それらがバランス良く配置されてなければ意味を成さないという事です。

専門的にいいますと、重心(家の中心と考えて下さい)と剛心(耐力壁の中心と考えて下さい)との距離を数値で表したものを偏心率と言いますが、この偏心率を、限りなくゼロに近づけるような、耐力壁の配置が重要なわけです。

数値が0.15以上の家は、危険だと認識する必要があります。
阪神大震災は、これらの教訓を生々しく教えてくれたと言っても過言ではないと思います。
但し、どんなに、これらのチェックが行われ、図面上に表示されたとしても、現場がそのようになってなければ、全く意味を成しません。くれぐれも注意して下さい。
1/100精度の図面で充分です。

◇ 鳥瞰図・内観パース図・展開図

◆鳥瞰図
家の間取りを、水平に切断したものを立体的に表現したものです。
あたかも鳥が上空から間取りを見てるようなイメージです。
◆内観パース図
室内を立体的に表示した図面です。
完成した部屋が、どんな部屋になるかをイメージとして把握できます。
◆展開図
部屋の中心に立ち、室内を見たときの姿図を、東西南北(4面)それぞれに表示する図面です。
内観パース図に比べて、イメージが掴みにくいのが難点です。
通常1/50~1/30精度が一般的です。

以上のほかに必要に応じて、
例えば照明器具リスト図や外装材割付図等も作成されます。

重要!
くどいようですが、再度言います。
契約書に印鑑を押す前に、もう一度良く施工(実施)図面を点検してください。
不足な図面があった場合には追加してもらいましょう。
分からないことや疑問点は、設計者や担当者に聞き確認しておきましょう。
出来れば、1日2日程度じっくり検討してから印鑑を押してください。

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