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◇ 迷う!リフォームで済ませるか新築にしたほうがいいか

リフォームで済ませるか新築にしたほうがいいか、この悩みは結構多いですね。
私の経験では新築して25~30年前後、中古住宅を買って10~15年程度経つと、この悩みが次第に頭をもたげてくるようです。
ここではリフォームするという観点から検討することで、最終的にどちらにするかの判断材料を見出していければと思います。

リフォームで済ませたいと思う理由は大体次の通りです。

この他にもあると考えられますが、ここでは取り敢えず上記のようなことについて述べてみたいと思います。

年を重ねるうちに、新築した当初や中古住宅を買った当初とは、家に対して明らかに少しづつ不満が積み重なってきます。
これは家族構成の変化や所得の変化、そして家に対するもっと違った夢などが、今住んでる家が満たしてくれる範囲を超えて、次第に大きく膨らんで来たからだと思います。

そして人生をより豊かに生きて行きたい思いと、どうせなら歳を取ってからでは大変だから、出来るだけ若いうちに実現したいなどの思いが段々と募ってくるからだろうと思います。

それでは上記のように思う理由について、掘り下げて考えてみることにしましょう。

▼ 長年すんでいるから、愛着があり取り壊すには忍びない。

確かにそういう点はあります。つい先日こんな相談がありました。

もう百年近い昔からの家で、台風や地震のたびに揺れて今にも壊れそうだけど、代々続いてきた家だから愛着があり、いろんな人からもう取り壊して新しい家にしたらなんて言われるけど、どうしてもその気にならない。何かいい知恵は無いものでしょうか?

私はその方の、どうしてもその気にならない気持ちが何処から来ているのかを知りたくて、その方に言いました。
「一度現場を見させていただけませんか?」
私は翌日その方の住まいに足を運びました。現場を見て、その方のどうしてもその気にならない気持ちが良く理解できました。
とても素晴らしい建物でした。確かに築年数は経っていますが、文化財の指定をしてもいいくらいの趣きのある立派な住まいでした。無責任にも取り壊したら?なんて言えない代物でした。
「奥さんこれは今では得がたい家です。絶対に壊してはいけません。地震や台風に対する備えは今のイメージを壊さずに出来ますよ。そして、更に何十年と持ち堪えられるようにも出来ますよ」
と、私は奥さんに言いました。
奥さんは我が意を得たりの顔で満面の笑みを浮かべて、
「やっぱり相談して良かったわ!ありがとうございます」

他方、長年住み慣れた我が家に、愛着があるのは良く分かりますが、かといって不自由を強いられながら毎日を暮らすのもどうかと思います。
リフォームで満足できそうであれば、それにこしたことはありません。
予算や希望が満たされるのであれば、のびのびとした楽しい我が家を先取りして、暮らしをエンジョイするのも一つの考え方だと思います。

▼ まだまだ家としては丈夫なようだし、壊すにはもったいない。

実はこの「丈夫なようだ」が問題な場合が結構多いのが事実です。これも最終的には新築にされた例をご紹介します。

最初の段階では、
「家としては丈夫なようだし、壊すにはもったいないからリフォームしたい」
という強い希望がありましたが、私が築25年経過したこの家について、一つ一つ質問したり一緒に床下にもぐってもらって、床下で基礎のことやら、構造のことを分り易くいろいろ説明をしたりして、お客様の反応を見ていきました。
当時の施工業者の施工力の程度を推し量ることは出来ませんが、少なくとも私の目にはたいした施工力でもないような判断でした。

こうしていろいろ打合せして、お客様の気持ちを最大限取り入れながら話を進めた結果、リフォームの場合の費用と新築にした場合の費用を比較してみようということになりました。

そして見積書を作成して比較したら、リフォームした方がやや安いという結果が出ました。大幅な改造(増改築)を予定されていましたので、コスト的には相当掛ってしまいました。

二つの見積書をお客様に渡し,内容を細かく説明しながら、
「最終的にはお客様の判断ですから、良く検討してみてください」
と言ってその場を去った訳ですが、去り際にこう言いました。
「既に築25年経過した家を、改造し化粧しても元々の構造は更に年を重ねていきます。基礎もそのままですし、最大譲ってもその点の心配は残ってしまう懸念はありますね。問題は対費用効果をどう考え、価値を何処に置くかということだと思います」

しばらくたってお客様から電話があり、
「いろんな角度から検討したけど新築にしようと思います」
という返事をいただきました。
私は今でも、お客様は賢い判断をされたと思っています。
今住んでいる家が丈夫だという判断は、どこまで、どの程度リフォームするかによって、ややもすると誤った判断となる場合があります。また費用的にも大きな差が出ますので、慎重な考えの元に最良の結論を導き出す必要があるようです。

▼ リフォームのほうが建設費が安くつくような気がする。

ここのテーマでは、例えば浴室だけをリフォームしてユニットバスにしたいという類の話ではなく、新築かリフォームかという大きなテーマですので、論点をそこにおいて考えなければなりません。

建設費については、築何年の家をどの程度リフォームするかによって大きく違ってきますので、一概には言えませんが、何回となくリフォームを重ねても一向に満足できない。とか、その時その時は小額費用で済んだけど、結局はトータルすると高くついてしまった。など、いろいろな問題点が浮かび上がってきます。

リフォームの場合は、既存のもの、例えば壁とか天井とか下地材などを、どこまで壊さなければならないのかなどの、施工の仕方によって解体費用が大きく違ってきて、全体の費用を押し上げる要因になる場合があります。
また、壊してみないと分からないなどの理由で、見積の段階で、結果として余分な費用を計上してしまう傾向があります。ですから必ずしもリフォームのほうが安くつくという訳にも行かない場合がある、ということを知っておく必要があります。

▼ 工事中の仮住まいを借りるのが面倒くさい

だからリフォームで済ませたい?それはないでしょう。
住みながら工事してもらうほうが、よっぽど煩わしいと思いますけどね。とはいえ、心のどこかに「面倒くせーなあ」なんて思う人は結構いるのかもしれませんね。
リフォームの場合、住みながら工事して貰う場合、それなりの費用が掛かるって事ご存知ですか?
いずれにしてもこういう考えの人は家づくりは考えないほうが無難かもしれませんね。