私の長い家づくりの経験の中で、良からぬ事態と言いますか、決してあってはならない出来事や、お客様と施工業者との壮絶な争いに発展したり裁判問題になったり……。と、そんな現場を幾つも見聞きしてきました。
他業者もしくは他人様のしでかした出来事ですので、素知らぬ顔をしておればいい訳ですが、そうもいきません。
どうしてそうなってしまったのか、それは事前に防止出来なかったのかなど、私の頭の中で、ぐるぐると回転する走馬灯のように、家を造るときの心配事が駆け巡ります。
そもそも、このようなホームページを立ち上げて、家を建てたいと思っている人達の為に、万分の一でもお役に立てればと思った動機も、そんな事件を数多く見聞きしてきたからです。何とかしなければならない、と思ったからです。
家づくりは本来楽しく感動的な筈です。夢と希望を乗せて航海する船のようなものです。ですが一方では、その船が安全に航海出来るように、長く長くローンを払い続けていかなければなりません。
ですから、もうこれ以上欠陥住宅をつかまされて、建主が涙するような事態を引き起こしてはならないのです。
悲劇を被った当事者の、慟哭にも似た悲痛な叫びを悩みを誰が聞き誰が解決してくれるのでしょうか。
家は建売住宅やマンションのような完成品を買うケースもありますが、大抵の場合は、注文住宅(規格型住宅も含みますが)、つまりお客様のイメージを元に、現場で一つ一つの部品を組み合わせながら造られていきます。
ところが、家づくりに関するJIS規格などの各社共通の製造マニュアルなどがあろう筈が無く、結局、とどのつまりは各工務店や各ハウウメーカー独自の家づくりマニュアルですので、その設計や施工のレベルとか家づくりのコンセプトみたいなものは、自ずと大きく相違している事は誰でも容易に理解できることだろうと思います。
欠陥住宅が後を絶たない原因を考えた時に、ややもすると業者のみが非難される状況にありますが、実のところそうでもない、建主側の理解力や家づくりを他人ごとのように業者に任せっきりにしている現実や、肝心の業者選定の曖昧な基準などが、そうさせていると言っても良いのじゃないかと思います。
もちろん、請負った業者の施工レベルの低さが、その原因の最たるものだということは論を待ちませんが、どうやってチェック機能を正しく働かせるかのスイッチが、建主側の手元に無いことも一つの原因だと言いたい訳です。
施工業者を選んだ責任は、業者の請負責任と同時に存在すべきで、悲劇にならない処方箋は必ずある訳ですので、その辺の事前の認識が絶対的に必要だということを強調したい訳です。
悲劇にならない為の勉強を自らしてくださいと強調したい訳です。その為の協力・サポートはいつでもしますので、どうか頑張っていただきたいと思います。
少々きついことを言ったような気もしますが、私の頭の中で、どうしても気になっている一つとして、ご理解いただければ幸いです。