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◇ 失敗しない土地探しのチェックポイント


土地探しは、自分の目と足で確かめることが大切です。
物件について、業者からいろいろな説明を受けるとは思いますが、納得のいく説明を求め、少なくとも自分が調査した結果と、業者が説明する(した)ことが一致するかどうかが、業者の信用度のチェックポイントのひとつになります。
ここでは物件(土地)調査に関して、どんな事に留意したらいいのかを記述します。


▼ 現地調査のポイント

通常の交通機関を使って行く
最寄の駅やバス停を確認しながら、自分の足で現地へ行きましょう。
自分の車や業者の案内する車に乗ったのでは交通の便が分かりません。
また、友人などがバスや電車で訪れる場合もあるかもしれません。その為にも、最寄の駅やバス停を確認しながら、自分の足で現地へ赴くことはとても大切なことです。

現地には二度以上行く
現地周辺の状況は、曜日や時間、天候によっても違います。
場合によっては季節によっても違う場合があるかもしれません。
特に、強い雨の日や平日にも現地に足を運んでください。

夜の現地を調査する人は意外と少ないようですが、とても大事なことです。
防犯、騒音のほか街灯など、日常の生活に不安を感じない場所なのかどうか、実際に現地に赴き体験してください。

たまたまなのでしょうが、生活し始めたら、周辺が暴走族のたまり場で、その為、安眠できず困っているという方もいらっしゃいました。

また、近隣に犬とか猫などが多い場合、気になることもあります。夜中の犬の泣き声、遠吠えが気になる方は、その辺も調査しておいたほうがいいかもしれませんね。

近隣に工場などがないか、排煙はないか、工場の音はしないか、また、航空機のコースの下になっていないかなども調べておきましょう。

大勢で一緒にいく
家族や経験のある人などからの意見やアドバイスも役立ちますので、現地にはできるだけ多くの人と一緒に行くようにしてください。

地元の人や近所の人にもいろいろ聞く
利便性や夜間の交通など、その土地や周辺の事情に詳しい人に、いろいろ話を聞くのもとても役に立ちます。積極的に話しかけて情報収集に当たりましょう。

チェックリストを作っておく
道路条件や日当たりや風通し、インフラ設備、周辺の環境などについて、自分用のチェックリストを作っておくと、とても役に立ちます。
記憶は、時間がたつと忘れてしまったり、見過ごしてしまう場合があります。事前にチェックリストがあると正確な情報が的確にチェックできますので便利です。

給排水の引き込み配管の状況
宅地内に給排水の配管が引き込まれていますか?
新たに宅内に引き込む工事をしなければならない場合には、多額の費用がかかります。
また、隣家の敷地を通って配管されていたり、隣家の配管が自分の敷地内を通っていたりすると、後々のトラブルの原因になりますので、よく調べておきましょう。

▼ 図面等をもらう

土地の実測図をもらいましょう
これはとても重要です。
測量図には面積や方位や前面道路の幅員などが記載されています。必ず手に入れましょう。

既存建物の図面をもらいましょう
中古住宅を購入する場合に限らず、既存の建物がある場合には、重要事項の説明を受ける時に、建物の形状・構造などを書いた図面があれば一緒にもらって内容を調べておきましょう。

工事竣工図をもらいましょう
既存建物の工事竣工図があるかどうかを確認し、ある場合にはコピーをもらっておきましょう。
これは、建物の構造や給排水衛生設備、電気、ガスなどの配管・配線が記載された図面で、増改築や補修工事はもちろん、取り壊して新築する場合にとても役立ちます。

▼ 登記事項の調査

登記された建物や土地の権利関係(所有権、抵当権、地役権など)を、物件の所在地を管轄する登記所(法務局)の登記簿で調査しましょう。
また、登記所(法務局)で、公図(土地の地図台帳)も閲覧できるので、道路の状況や隣地との関係などを確認しましょう。分からない場合は、費用はかかりますが、司法書士に依頼するのもいいと思います。

登記簿の見方
不動産登記簿には「土地の登記簿」と「建物の登記簿」の二つがあります。各々「表題部」「甲区」「乙区」に分かれています。

    • 「表題部」には土地や建物の表示
    • 「甲区」には所有権に関すること
    • 「乙区」には地上権、抵当権などに関すること

が記載されています。

(注1)
不動産業者に登記簿謄本を見せてもらうときは、謄本の証明年月日を必ず確かめましょう。
古い謄本の場合、記載事項が変更されている場合がありますので注意が必要です。
(注2)
中古住宅の場合、広告などで「築〇〇年」と記載されていることと一致しているかどうか確かめましょう。

▼ 建物を建築する場合の法令に基づく制限

建物を建築する場合、都市計画法や建築基準法など制限法令が多くあります。
物件の所在地を管轄する建築指導課や都市計画課などに必ず問い合わせてください。

市街化調整区域の場合
市街化調整区域は、市街化を抑制するために設けられた区域で、原則として一般の住宅は建てることができません。

用途地域
用途地域によって、建築できる建物の種類、建ぺい率、容積率、高さ制限などが異なります。

開発許可、宅地造成許可
造成地を購入する場合、開発許可や宅地造成工事許可などの許可が必要な土地があります。
また、土地の地目によっては、農地転用許可が必要な土地があります。

建築確認
物件を購入する場合には、必ず建築確認申請書に基づき工事された物件なのかどうかを調べましょう。
役所に建築確認申請書の手続きをしないで工事された建物や、違法に建てられた物件を購入した場合、有形無形の思わぬ損害をこうむる場合がありますので、事前に調査して、そういった物件は購入しないようにしましょう。

都市計画道路
購入しようとしている土地が、計画道路内にあるかどうかをチェックしましょう。
計画道路内にある場合は、建築出来なかったり将来建物を撤去しなければならなくなる恐れがあります。

敷地の適法性
都市計画区域内にあっては、道路があっても必ず家が建てられるとは限りません。
道路の巾や道路位置指定など、建築基準法の条件を満たしているかどうかを良く調べる必要があります。
いくつか具体的に例を挙げてみます。

  • 道路と敷地の関係
    敷地は、道路(巾4m以上)に2m以上接しなければなりません。(法第43条)
    この「道路」は、国道、県道、市町村道などの公道である場合のほかは、建築基準法の規定に基づいて「位置の指定」された道路であることが必要です。(指定番号、指定年月日を確認しましょう)
    また、私道の場合、場合によっては負担金が発生することもありますので、できれば県・市・町・村所有の公道に接した敷地のほうが望ましいと思います。
    地方公共団体の条例などにより、道路の幅員及び接道の長さにさらに制限を加えている場合もあります。
  • 路地状敷地(敷地延長)
    敷地が路地状部分のみによって道路に接する場合は、その路地状部分の長さや幅員に制限を加えている場合があります。
    この制限は地方公共団体によって異なりますので、このような敷地に該当する場合は、事前にその制限内容などを調べておきましょう。
  • 2項道路(みなし道路)
    巾4m未満の既存道路で、建築基準法が適用されるようになったときに、現に建築物が建ち並んでいる道路で、特定行政庁が道路として指定したものは、建築基準法上の道路とみなされ、道路の中心線から2mのところに道路境界線があるとみなされます。(法第42条第2項)
    この道路とみなされる部分は、建物の建ぺい率や容積率を計算するときの敷地面積には含まれませんので注意が必要です。

違反建築物と既存不適格建築物
違反建築物とは、法令に違反している建築物のことで、住宅ローンの融資が受けられなかったり、建て替えが出来なかったりする場合もありますので注意が必要です。
既存不適格建築物とは、その建物が建築された時は法令上何ら問題がなかったのですが、法令が変わり、現在と同じ建築物が再建築できない物件のことをいいます。
ただし、その建物を現状のままで住み続ける限りは問題はありません。

▼ 建築条件付土地

建築条件付土地の購入に関して少し考えて見ましょう。

建築条件付土地とは

土地を購入する場合、上物(建物)も不動産会社が建築することを義務付けた土地のことを言います。
通常土地のみ購入して、建築は他の専門業者に依頼するのが一般的ですが、この場合は土地を販売している不動産屋に建築も依頼するという販売方法です。
土地の値段は相場で動きますので、土地に大幅な利益を上乗せすることは困難です。そこで、建物を建築することを条件にして、セット販売することで利益をカバーしようという狙いがあります。
建築条件を付けることで、不動産会社としては、土地が売れたと同時に、建物も契約できる訳ですので販売戦略上の旨味がある訳です。

建築条件付の土地を購入する場合の注意事項

建築条件付の土地を購入する場合には次の点に注意してください。

  • 工事の一括丸投げと業者紹介
    不動産業者で、家の設計や工事を自社でまかなえる業者は数少ないと思われます。その為、設計にしても工事にしても、他社に一括丸投げしてしまう、いわゆる、工事金をピンはねする業者が少なくありません。
    工事の一括丸投げ(一括発注)は、業法で禁止されていますので法律違反となります。違反行為は営業停止などの重い罰則がありますので、業者は次のような手を使ってきます。

    1. 工事の一部例えば内装工事だけを自社で発注して一括丸投げで無い形をとる。
    2. 工事の契約は、指定の工務店などと結ぶようにする、いわゆる業者紹介による契約を行なう。
      この方法は法で禁止されている一括丸投げを避けられると同時に、あらかじめ施工業者からのバックマージンを取り決めて、結果的には一括丸投げと同等の利益を確保しようという狙いがあります。
  • 建設業法の許可
    不動産業者で建設業法の許可を得て営業している会社は多くはありません。
    ある一定の規模以下の工事は、建設業法の許可が無くても営業できますので、その辺を上手にやりくりして工事の請負をしているところも少なくありません。

    建築条件付の土地を購入した為に、いい加減な家を造られてしまったとか、建物仕様の割には値段が高い感じがしたとか、安かろう悪かろうの家に住む羽目になってしまった等、いろいろな話を聞きます。
    この建築条件付土地の販売方法が悪いとは思いませんが、通常の購入方法と違う訳ですので、事前に良く調査した上で検討されることを強く望みます。

▼ 良い広告の選び方

不動産の広告を見る場合は、はやる気持ちを抑えて、慎重に点検しましょう。

良い広告とは
良い広告は、正確で情報量の多い広告です。
広告を見ただけで直接現地に行くことができる広告。
登記などを調べることが出来る広告。
などを良い広告といってよいでしょう。
詳細を知りたい場合は、電話などで問い合わせることも必要ですが、その際むやみに住所などは教えないようにしてください。良心的な業者は、あなたに必要な情報と時間的なゆとりを与えてくれます。

オトリ広告に注意
オトリ広告とは、客をおびき寄せることだけを目的とした広告につられてやって来た客に、
「その物件はもう売れてしまいました。別の良い物件をお見せします。」
と言って、まともに広告したのでは客が付かないような物件を言葉巧みに売りつける手法です。
不動産に格安品や掘り出し物はありません。怪しい広告には手を出さないように心がけましょう。

▼ 良い業者の選び方

不動産取引に失敗しない為には、何と言っても信用のある業者と取引することです。
経歴、世間の噂など、いろいろ調べて、それらの結果を総合して判断しましょう。

業者の免許
不動産取引業を営むためには免許が必要です。
免許には建設大臣免許(二つ以上の都道府県に事務所を置いて営業する場合)と都道府県知事免許(一つの都道府県にのみ事務所を置いて営業する場合)があります。

業者名簿の閲覧
各都道府県の担当課で、その地域内に事務所のある業者の業者名簿と免許申請者の閲覧ができます。
それを見れば、業者の経歴や資産状況、行政処分歴などが分かり、ある程度業者の信用程度を判断できます。

  • 閲覧のポイント
    1. 免許証番号
      宅地建物取引業者の免許は、建設大臣又は知事免許(○○)第○○○○号と表示されています。
      営業経歴が長いからといって必ずしも安心出来ません。その業者の営業のやり方、実績、資力などについて調べることが必要です。
    2. 過去の営業成績
      免許を更新している業者であれば、更新の免許申請前3ヵ年の取引件数や額が、売買、代理、媒介の別で分ります。
    3. 商号、代表者、役員、事務所の所在地
      たびたび変更しているような業者は注意が必要です。
    4. 取引主任者、従業員
      出入りが激しい業者は注意が必要です。
      業員名簿の従業者証明書番号の頭部4桁は、その業者での勤務開始年月(西暦)を示します。
    5. 資産状況等
      個人営業の場合は代表者の資産状況、法人の場合は資本金、財務内容などが分かります。
    6. 納税状況
      経営状態のチェックポイントのひとつです。
    7. 行政処分歴
      過去に業務停止などの処分を受けていないかどうか。(担当課の職員に聞いてください)
    8. 業界団体への加入状況
      これもひとつの目安になります。

▼ 不動産業者について

不動産を取引する業者には下記のような法律上の義務があります。

不動産取引業者の法律上の義務

  1. 事務所の整備
    業者の標識、報酬の限度額などがきちんと掲示され、事務所として整備されていなければなりません。
    そして事務所ごとに従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは閲覧に供しなければならないことになっています。
  2. 重要事項の説明
    契約する前に、取引主任者が取引主任者証を提示して、物件及び取引に関する重要な事項を記載した書面(重要事項説明書)を交付して説明しなければなりません。
  3. 書面の交付
    取引が成立したら、業者は法律で定められた事項を記載した書面(通常は契約書)を作成して交付しなければなりません。
  4. 取引主任者証、従業者証明書
    従業員は業者の発行する従業者証明書を、加えて取引主任者は都道府県の発行する取引主任者証を携帯することになっており、取引の関係者から請求があったときは、それを提示しなければなりません。
  5. 業者の立場の明示
    業者は、宅地・建物の売買、貸借等について広告をする時及び注文を受けた時は、自ら当事者となるのか媒介か代理か、業者の立場を明確にすることが義務づけられています。
    参考までに、媒介契約について記述しておきます。
    不動産物件の購入・売却については、以下のような媒介契約を選択することが出来ます。
    依頼したい不動産業者が信頼できる業者ならば、専任媒介契約又は、専属専任媒介契約をお勧めします。
    以下は、それぞれの媒介契約の種類と概要を記載しています。

    媒介契約の種類と概要

    • 専属専任媒介契約
    • 依頼者は、目的物件の売買、又は交換の媒介、又は代理を、依頼した不動産業者以外の宅地建物取引業者に重複して依頼することができません。
    • 従って、依頼者は、自分の知人等といえども、売買、又は交換の契約を締結することができません。
    • 依頼された不動産業者は、目的物件を建設大臣の指定する流通機構に登録します。
    • 専任媒介契約
    • 依頼者は、目的物件の売買、又は交換の媒介、又は代理を、依頼した不動産業者以外の宅地建物取引業者に重複して依頼することができません。
    • 依頼者は、例えば、自分の知人など、自ら発見した相手方と売買、又は交換の契約を締結することができます。
    • 依頼された不動産業者は、目的物件を建設大臣の指定する流通機構に登録します。
    • 一般媒介契約
    • 依頼者は、目的物件の売買、又は交換の媒介、又は代理を、依頼した不動産業者以外の宅地建物取引業者に重複して依頼することができます。
    • 依頼者は、例えば、自分の知人など、自ら発見した相手方と売買、又は交換の契約を締結することができます。

▼ 契約前に、必ず重要事項説明書を受け取りましょう。

記載事項は理解できましたか?
業者は買主に対して、契約する前までに、取引する物件について、一定の重要な事項を記載した書面(重要事項説明書)を宅地取引主任者から交付させ、それを説明させなければならないことになっています。
従って、必ず契約前に重要事項説明書を受け取り、自分の確かめたいこと、疑問点を遠慮なく質問し、その説明をよく理解した上で、取引するか否かを決めましょう。

口頭の説明も書面にする
個々の取引においては、そのほかにも重要なことがあるはずです。重要説明書に書いてある以外のことで、説明を受けたこともはっきり書面に書いてもらいましょう。
口頭の説明では、後で「説明した」「聞いていない」の、いわゆる水かけ論になる恐れがあります。

内容は間違っていないか
重要事項説明書に書いてある事と、今まであなたが調べた内容と比較しましょう。
もしまだ調べていなければ、さっそく重要事項説明書が間違っていないかどうか調査しましょう。
特に次の点は再度確認しておいてください。

  • 契約の解除
    住宅ローンによる解除、買い換えに伴う自宅売却不成立の解除、手付金による解除、違約解除、不可抗力による解除等は、必要に応じて特約条項などに記載してあるかどうかを確認する。
  • 違約金
    契約不履行などの違約金が発生した場合の金額について確認しておきましょう。
    一般的には売買代金の10%~20%です。

疑問点は保留しない
自分で調査して疑問に思った点は、必ず取引主任者に確認しましょう。
 ⇒ 説明を受ける際は、必ず取引主任者証の提示を求めましょう。


人によっては、何もそこまでしなくても、なんて思っていらっしゃる方もあるかもしれませんね。
それは、これまで経験したことのない多くの事実を知らないから言えるのです。
自分の財産を守ることや、内容について知る権利・行為は、法律で認められたものです。
悪徳業者のはびこる昨今、自分が『後悔』という結果を導かないためにも、ここはひとつ、しっかり調査していただきたいと思うのです。


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