難解な専門用語が時々見受けられます。
ところが日常使われる用語にこれらの専門用語が使われているのをご存知でしたか?
どんな由来があってどんな意味があるのか少しばかり学習してみませんか?
ウダツが上がらない?
住まいの骨組みで最上部にある棟木を支える為に、梁の上に立てる短い柱をウダツ(真束)と呼びます。梁にこのウダツを上げると、骨組みの完成もあとわずか。
ですから、社会的に成功したりエリートコースまっしぐらの人は、ウダツが上がっている訳です。
大目標は一生懸命仕事をして認められること。そして一軒の家を持つこと。是非頑張って両方のウダツを上げましょう。
きちょうめん(几帳面)
まじめな人や物事をきちんと実行する人を「几帳面ですね」と評したりします。
この言葉も建築用語で、建具などの柱(枠)の角をギザギザに削った装飾的な部分を指すものです。
かって、間仕切りとして使われた几帳の柱に良く使われた柱細工なので、几帳面と呼ばれるようになったとか。
こうした細やかな美しい細工は、無名の「几帳面」な人たちの技術と言えましょう。
本音とたてまえ(建前)
本来の方針と現実が食い違ったりすると、よく「本音と建前は別だ」などと言います。
この使い分けは日本人の得意とするところですが、「建前」はもともと建築用語です。
棟を上げて最後の骨組みを終わることや、そのお祝いの儀式が、建前(舞)、棟上式と呼ばれ、大抵暦の大安吉日に行われます。
建前が無事に済めば、大工、左官、かわら職などの職人さんが協力して家づくりに取り掛かるのです。
住まいの建前工事は家屋の基本づくり、わずかの狂いも許されません。
この建前と本音は、是非とも一致する必要が望ましいですね。
ま(間)
床の間、茶の間、間取りなど住まいに関しておなじみの「間」。
間は元々柱と柱の間を指します。時代によって長さは違いますが、それをひとつの単位として一間としたのです。
石などを積み上げて家をつくる西洋と違って、日本の建築はまず柱を建てることから始まります。窓もその柱と柱の間に入った戸、つまり間戸を表します。
ところで、間に合う、間ちがう、間が抜けるなど、日常用語にも「間」はひんぱんに使われます。
舞踏、落語、歌舞伎などの伝統芸能でも「間」はとても大切にします。これは時間を指すだけでなく、呼吸やリズムの意味も含んでいます。
言葉で限定できないけれど、物と物の間や余白にある何か、呼吸(いき)などを示す「間」は、日本人の精神や文化性を表すキーワードと言っていいでしょう。