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◇ 建築費決定の仕組みと実態

例として大手の住宅メーカーの家造りの実態について、特に建築費にスポットを当てて、少しばかり触れてみたいと思います。大手住宅メーカーだから安心だわ・・・。なんて思っていませんか?確かにそういう面もありますね。でも何を根拠にそう思うのでしょうね。

倒産しないということですか?
面倒見がいいのでしょうか?
TVで宣伝してるからですか?
技術レベルが高いと思われるからですか?
展示場を持ってるからですか?
豪華なパンフレットやチラシを作ってるからですか?

少し、住宅の価格の面から考えて見ましょう。
大抵の全国系の大手住宅メーカーは、各都市に指定の施工業者を抱えています。つまり、あなたが街を歩いて散見する、▲▲工務店とか◇◇建設とかの看板が掛かってる地場の会社がそうです。そして、その▲▲工務店とか◇◇建設の下請けとして働いているのが大工さん達です。
大工住宅メーカーから見たら、▲▲工務店や◇◇建設は下請、大工さん達は孫請に当ります。
それぞれの会社(大工さんも一種の会社とします)は維持する為(ご飯を食べる為と言った方が良いかもしれませんね)経費が掛かります。将来の貯えも必要ですね。これらをひっくるめて粗利ということにします。

まず大工さんは原価に粗利を上乗せして、発注先の▲▲工務店や◇◇建設に見積書を提出します。これは、大工さんだけではないことは、もうお解りですね。そうです。基礎屋・屋根屋・左官屋・ペンキ屋などなど関連業者は一杯ありますね。(28業種あります)

▲▲工務店や◇◇建設は、大工さんを初めとする、それぞれの業種から提出された見積りに、会社の経費(粗利)を上乗せ集計して住宅メーカーに提出します。住宅メーカーは、その見積書に会社の経費(粗利)を上乗せして、建主にお見積書として提出します。

このことは、何も建設業界に限ったことではありません。全ての産業で行われてることですから、とりたたて騒ぐことも無い訳ですが、問題は屋上屋が何段階まであるかということです。

もっと分り易く言いますと、坪当り60万円で大手の住宅メ-カーと契約したとします。
先ほどの例でいきますと、建物が下請、孫請に施工されたとしますと、各々で経費(粗利)を取り合いますので、その経費を例えば15%として逆計算してみますと(実際にはもっと多いと思いますが)およそ次のようになります。40坪の建物として計算します。
40坪×60万円=2400万円 ⇒ 住宅メーカーと建主との契約金額
40坪×60万円×0.85=2040万円 ⇒ ▲▲工務店等の下請が住宅メーカーから受注する金額(これの坪単価は2040万円÷40坪=51万円/坪)
40坪×60万円×0.85×0.85=1734万円 ⇒ 大工さん達が受注する総金額(これの坪単価は1734万円÷40坪=43.35万円/坪)
ざっとこうなります。もうご理解いただけたと思います。

家をつくる(買う)ということは、スーパーで大根を買うのとは訳が違いますよね。100円や200円の話しではありませんよね。上記の差額に金利を上乗せしたお金を、貴方はせっせと25年から30年掛けて支払っていく訳ですよ。ぞっとするような話でしょ?

説明を分り易くしたい為に、いかにも住宅メーカーを悪者扱いのように書きましたが、もちろん住宅メーカーを悪く言うつもりは毛頭ありません。仕組みは地元の業者も似たようなところがあります。要はこういった仕組みと言いますか、業態や流通体系を良く知った上で、物事を進めていくことが肝要です。そうすることで、もしかしたら、隠れて見えなかった所も見えてくるかもしれませんよ、と言いたい訳です。